暗い夜空に花畑のように花火が打ち上がっている。
反射的に横を向くと、目をキラキラさせて花火を見ている日向がいた。
あれは、数日前。
「ねぇ、日向、テスト勉強した??」
「あー!!忘れてたー!!」
「えっ、二週間後だよ!?」
「えー!!最悪ー!!」
そう言いながらクラスを明るくしてくれる彼女の名前は佐々木日向。
俺の、片想い相手。
好きになったのは、高校一年の夏の時だった。
いわゆる一目惚れと言うやつだ。
綺麗な容姿に太陽のようにまぶしい笑顔。
その魅力的な姿に俺のハートはつかまれてしまった。
「おーい、夏樹。何見惚れてんだよー」
「お前もしかして佐々木の事好きなの??」
「ちげーよ」
「えー、本当に??最近ずっと頬杖ついて佐々木の事見てるじゃん」
なんでそうなるんだよと冷やかしてくるクラスメイトにムスッとした顔を向ける。
「……っでも、なんか分かるわー」
「?」
「普通に可愛いもんな」
「性格もいいし、面白いし」
「狙ってる奴も多いって聞くもんな」
「え!?お前佐々木の事好きなんか!?」
「ちょ、声でけーよ」
彼女の話で盛り上がるクラスメイトにふーんと適当に返事をしながら日向を見つめる。
肩くらいに下ろしたサラサラの茶色い髪が日にあたってキラキラ光る。
「夏樹、顔赤い」
「っは!?」
「わっかりやすー!!」
「ち、ちげーよ!!」
身体中が熱くなっているのを感じる。
彼らの言うように、俺はなかなか分かりやすいようだ。
「ふぅ……」
放課後、決まって海岸に腰を下ろして本を開く。
その後は誤解を解く事にとにかく必死だった。
まぁ、好きなのは本当なんだけど。
あんな噂、日向の耳に入ったら間違いなく俺の人生が終わる。
「……何してるの?」
「っうわ!!」
思わず本を放り投げてしまいそうになった。慌てて本を抱く。
「びっくりしすぎー!!」
視線をあげると、日向が少し怒ったように頬を膨らませて俺を見下ろしていた。
「な、なんで日向がここに!?」
「たまたま通りかかったら夏樹がいたから……」
日向は俺の隣に腰を下ろした。白いシャツに黄色いズボンが似合っていてドキッとした。
「相談してもいい?」
「まぁ、いい……けど……」
「私ね……好きな人がいるの」
「……っえ!?」
思わず間抜けな声が口から漏れてしまった。恥ずかしくて口を押さえる。彼女はもう一度「びっくりしすぎー!!」と笑ってくれたけど。
「でも、そんな相談、なんで俺に!?」
「……夏樹なら、ちゃんと聞いてくれそうだったから」
素直に嬉しくて、「そっか」と答えた。
「……で、告白しようと思って」
「……そうなんだ……」
日向には好きな人がいるんだ。
俺はずっと日向に片想いをしてきたんだ。
普通なら喜んであげるべき事だけど、素直になれなかった。
その気持ちを悟られないように、出来るだけ笑顔を作る。
「夏樹だったら、どんな告白だったら嬉しい??」
不意に彼女が顔を近づけて聞いてきた。
「え!?告白……!?」
「まぁね、こんなこと急に聞かれても困るか……」
日向はそう言って肩を落とす。
「ええっと……俺……だったら……」
嬉しい告白……か……
すぐに日向の顔が浮かんできてしまった。
慌てて打ち消し、頭を叩く。
「……えっと……普通に「好きです」……とか……
はは、ちょっと無難かな……?」
「なるほど」
彼女はふむふむと頷くと「ありがとう」と言って
更に俺の近くによってきて、姿勢を正した。
柔軟剤のいい匂いが日向からしてドキドキする。
この心音が彼女に聞こえていませんようにと願う。
「じゃあ、好きです」
「……っえ??」
一瞬、どうなったか分からなくなった。
「私は、夏樹が好きです……無難かな……」
もう一度彼女が俺の名前を照れながら口にして我に返る。
一瞬で俺の体温が上がった。
「……返事……欲しいな」
顔を赤らめたのを隠すように彼女は俺から視線をそらす。
「……俺もだよ」
彼女の目が大きく見開かれたのが分かった。
「俺も、佐々木日向が好きです」
二人が見つめ合って固まる。時間が止まった気がした。
「……ふふっ、フルネームだし……無難じゃん!」
と彼女が笑いかけてもう一度時間が動き出した気がする。
「あはは、ホントだ」
「固いよ!!」
二人見つめ合いながら、笑い合う。
いつか夢みていた事だった。
「……と言うことは、これからは俺ら"恋人"って事だよな」
俺が呟くと、彼女は「うん、カレカノだね」と優しく笑った。
「これからよろしくお願いします」
「うん、こちらこそよろしくね」
すると突然「あっ!!」と声をあげて彼女が立ち上がった。
「そうだ!もうすぐ夏休みだし、夏祭り一緒に行かない?」
「初デート!!」と彼女は手を差し出して言った。
「俺も同じこと考えてた」
俺は優しく彼女の手をとる。
二人で手を繋いで、海を眺める。
嬉しさで胸がいっぱいになった。これからも、日向と一緒にずっとこうやって笑いあっていたい。
にこにこと笑いながら海を眺める横顔は、この世のものとは思えないほどに美しかった。
反射的に横を向くと、目をキラキラさせて花火を見ている日向がいた。
あれは、数日前。
「ねぇ、日向、テスト勉強した??」
「あー!!忘れてたー!!」
「えっ、二週間後だよ!?」
「えー!!最悪ー!!」
そう言いながらクラスを明るくしてくれる彼女の名前は佐々木日向。
俺の、片想い相手。
好きになったのは、高校一年の夏の時だった。
いわゆる一目惚れと言うやつだ。
綺麗な容姿に太陽のようにまぶしい笑顔。
その魅力的な姿に俺のハートはつかまれてしまった。
「おーい、夏樹。何見惚れてんだよー」
「お前もしかして佐々木の事好きなの??」
「ちげーよ」
「えー、本当に??最近ずっと頬杖ついて佐々木の事見てるじゃん」
なんでそうなるんだよと冷やかしてくるクラスメイトにムスッとした顔を向ける。
「……っでも、なんか分かるわー」
「?」
「普通に可愛いもんな」
「性格もいいし、面白いし」
「狙ってる奴も多いって聞くもんな」
「え!?お前佐々木の事好きなんか!?」
「ちょ、声でけーよ」
彼女の話で盛り上がるクラスメイトにふーんと適当に返事をしながら日向を見つめる。
肩くらいに下ろしたサラサラの茶色い髪が日にあたってキラキラ光る。
「夏樹、顔赤い」
「っは!?」
「わっかりやすー!!」
「ち、ちげーよ!!」
身体中が熱くなっているのを感じる。
彼らの言うように、俺はなかなか分かりやすいようだ。
「ふぅ……」
放課後、決まって海岸に腰を下ろして本を開く。
その後は誤解を解く事にとにかく必死だった。
まぁ、好きなのは本当なんだけど。
あんな噂、日向の耳に入ったら間違いなく俺の人生が終わる。
「……何してるの?」
「っうわ!!」
思わず本を放り投げてしまいそうになった。慌てて本を抱く。
「びっくりしすぎー!!」
視線をあげると、日向が少し怒ったように頬を膨らませて俺を見下ろしていた。
「な、なんで日向がここに!?」
「たまたま通りかかったら夏樹がいたから……」
日向は俺の隣に腰を下ろした。白いシャツに黄色いズボンが似合っていてドキッとした。
「相談してもいい?」
「まぁ、いい……けど……」
「私ね……好きな人がいるの」
「……っえ!?」
思わず間抜けな声が口から漏れてしまった。恥ずかしくて口を押さえる。彼女はもう一度「びっくりしすぎー!!」と笑ってくれたけど。
「でも、そんな相談、なんで俺に!?」
「……夏樹なら、ちゃんと聞いてくれそうだったから」
素直に嬉しくて、「そっか」と答えた。
「……で、告白しようと思って」
「……そうなんだ……」
日向には好きな人がいるんだ。
俺はずっと日向に片想いをしてきたんだ。
普通なら喜んであげるべき事だけど、素直になれなかった。
その気持ちを悟られないように、出来るだけ笑顔を作る。
「夏樹だったら、どんな告白だったら嬉しい??」
不意に彼女が顔を近づけて聞いてきた。
「え!?告白……!?」
「まぁね、こんなこと急に聞かれても困るか……」
日向はそう言って肩を落とす。
「ええっと……俺……だったら……」
嬉しい告白……か……
すぐに日向の顔が浮かんできてしまった。
慌てて打ち消し、頭を叩く。
「……えっと……普通に「好きです」……とか……
はは、ちょっと無難かな……?」
「なるほど」
彼女はふむふむと頷くと「ありがとう」と言って
更に俺の近くによってきて、姿勢を正した。
柔軟剤のいい匂いが日向からしてドキドキする。
この心音が彼女に聞こえていませんようにと願う。
「じゃあ、好きです」
「……っえ??」
一瞬、どうなったか分からなくなった。
「私は、夏樹が好きです……無難かな……」
もう一度彼女が俺の名前を照れながら口にして我に返る。
一瞬で俺の体温が上がった。
「……返事……欲しいな」
顔を赤らめたのを隠すように彼女は俺から視線をそらす。
「……俺もだよ」
彼女の目が大きく見開かれたのが分かった。
「俺も、佐々木日向が好きです」
二人が見つめ合って固まる。時間が止まった気がした。
「……ふふっ、フルネームだし……無難じゃん!」
と彼女が笑いかけてもう一度時間が動き出した気がする。
「あはは、ホントだ」
「固いよ!!」
二人見つめ合いながら、笑い合う。
いつか夢みていた事だった。
「……と言うことは、これからは俺ら"恋人"って事だよな」
俺が呟くと、彼女は「うん、カレカノだね」と優しく笑った。
「これからよろしくお願いします」
「うん、こちらこそよろしくね」
すると突然「あっ!!」と声をあげて彼女が立ち上がった。
「そうだ!もうすぐ夏休みだし、夏祭り一緒に行かない?」
「初デート!!」と彼女は手を差し出して言った。
「俺も同じこと考えてた」
俺は優しく彼女の手をとる。
二人で手を繋いで、海を眺める。
嬉しさで胸がいっぱいになった。これからも、日向と一緒にずっとこうやって笑いあっていたい。
にこにこと笑いながら海を眺める横顔は、この世のものとは思えないほどに美しかった。