小鳥のさえずりと共にぐったりとした重い体を起こし、横にあるスマホをとる、ロック画面を確認すれば時刻は午前6時23分を回っている、まだぬくもりが残るベッドに別れを告げ急いで制服に着替え始めた。

紺を基調としたセーラー服に身を包み、半袖の袖口からでる生身の腕に日焼け止めを塗り下へと降りていく。

「おはよーーー」

リビングに向かうと向かいのキッチンで朝ご飯の準備をする母が、その声に気づいたのか下げていた顔を上げこちらを見る。

「おはよーさん珍しいねいつも寝坊助な貴方にしては」

「むっ!!」

その言葉に思わず眉を下げ嫌な表情で母を見る。

「今日はなんて言ったて灯籠流しの日だもん天使大戦で亡くなった人たちを弔う祭りでしょ」

その言いながらテーブルに置かれた朝ご飯に手をつけ始めるがその瞬間母はあーと口を開け苦虫を噛んだ表情で私を見て続けた。

「それの事なんだけどさ今日なんか延期するみたいよ、、」

その言葉に私は食事していた手を止め一瞬で私の中の何かが崩れ落ちた気がした。

「なんで!!」

「なんか今日市の方に連絡があってまた天使による被害が出たんだって」

「もうまた??」

「そそ何でも天使に恋した男が天使と口づけをしてそのまま魂持ってかれて死んでたらしいよ」

「はあ、、本当迷惑な話」

「天使と恋愛するだけでも違法なのにね、どういう理屈でそうなるんだか」

そう母は愚痴をこぼしつつ私の弁当の準備を進めてくれたいる、私もご飯を食べ終わると食器をシンクに持っていきその流れで洗面所へ向かった。

ある程度そこで最終チェックと身なりを整え学校へ向かう、母からお弁当の袋づつみを貰いカバンに入れると玄関へいきローファーに履き替え「行ってきます」と言い外に出た。

父は海外出張でほとんど家にいない其の為いつも家にいるのは私と母だけだ、そんな事を考えながらよく裏庭で遊んだ記憶が蘇る。

今ではほとんど手入れさていなくて草が伸びっぱなしで、庭とは言い難い荒れ地と言ってふさわしい場所になっている、その端に私の通学用の自転車が置いてあり、私は自転車の籠にカバンを入れるとロックを外し後ろにバックして自転車を道路に出した。

そのままサドルに腰を置くとペダルを踏んでゆっくりと早くなっていくスピード、それに合わせて強風が私の体の間をすり抜けていき心地よい。

風に吹かれながら”天使”とはなんだと改めて考えていた、まず天使という生き物はこの世界に昔からいる人間に近い羽をもった生物だ、そして私達人間と昔から深い関わりのある存在でもある。

その昔人は羽を持ち空で生きる者と地上で生きる者に分けられた、こうして人と天使にはそれぞれ分岐ができた、しかしそれによる新たな問題も生まれた。

天使は人の寿命を餌にして生きるということだ、人間は地上で暮らすため勿論動物を狩ったり食物などを育てる事でそれを栄養源にしている、しかし天使というとそうはいかない。

ある一定の時期になると天使は地上に降りて人を狩る、その手段は様々だが共通して寿命である魂を必要とするため口づけを交わす。

そのためむやみに天使に近づくことや恋愛をすることは禁止されているのだ、そして今日行われるはずだった灯籠流しも天使大戦という天使による襲撃で命を落とした人たちを弔うための祭り行事なのだ。

だから私は天使と恋愛なんてすることがだめだなんて当たり前に感じていた、天使なんて人間に害を及ぼすだけの害虫みたいなものだってそう考えてた。


きっとそれだけだ。


多分、、。




あの頃は、今はまだそう感じていたのかもしれない。