山道をシルバーに乗りながら進む。
 
 プランスは背を低くして、獲物に気配を探っている。今のところは獲物を一匹も見つけれてない。

「プランス、今日は少ない?」

 私がシルバーに抱きつく。

「いや別に、そんなことない。ただ、森が今日は騒がしい。いやうるさい。」

 弓を引く音が、山中に響くほど静かな森なのに、プランスはうるさいと言った。
 
 山の初心者が言うこちじゃないけれど、プランスは空耳が聞こえているのだともう、プランス自身は気づいていないと思う。

 そう思って、プランスの肩を叩くと、急にシルバーが、ヒヒーンと鳴いて、走り回る。
 私は手綱を強く掴み、絶対に離さないと誓った。
 同時に、走馬灯のようにして、プランスの顔がずっとリピートされる。私は死ぬのか?

「どうしたシルバー、落ち着け」

 プランスがシルバーに安堵の魔力をかけた。

 安堵の魔力とは、目立って出来る技でない。
 理由は単純で難しく、常に安堵した心の持ち主でないとダメだ。なのに、プランスは簡単に安堵の魔力を使った。
 つまり、プランスの心は常に安堵しているということだ。

「よし良い子だ・・・・・・ミア、何があったか説明するな?」

 強面な顔で顔を近づける、プランス。
 そんな彼に私は頷く。

 そんな真剣な顔見せられたら・・・・・・・・惚れちゃう。

 そう思いながら、耳を澄ましてプランスの言葉を聞き取る。彼はずっと真剣な顔をしていて、何か問題が起きたことがすぐにわかった。

「まず、魔獣が現れた。つまり、俺たちにいつ襲いかかってくるか、分からない。だから、お前はシルバーで全速力で家に戻れ」

 この時、彼の瞳は熱く燃える太陽のようだった。
 太陽の瞳からは私を守るという信念強さが伝わって来て、聖騎士が目の前にいると錯覚してしまった。

「大丈夫なんですか?」

「ああ、だって本来俺は攻撃魔力だぞ」

 彼の瞳は嘘をついていないいなかった。だから、私は意を消して、家に戻った。