プランスはそう呟いてから、再びカレー作りに集中した。



 カレーが出来上がったって、プランスが言ってレードルで、お皿に注いでくれた。
 
 ナンもプランスの異世界袋から出して、カレーとまた別のお皿に置いた。そのまま、両手にお皿を持ち、プランスは近づいてくる。
 さっきまでは丁寧に歩いていたのに、今じゃあふざけるように、大股になってて嬉しい気持ちと、ドキッとした気持ちが交互に感じた。

「美味しいナンとカレーをお待たせ」

 プランスはカレーを私の前に置き、ナンを机の真ん中に置いた。
 
 それだけで、この料理がとても美味しいことが、自ずと分かった。でも、プランスが作った料理ならば、どんな料理でも美味しい気がする。
 いや、そもそも、プランスはそんなに料理が下手ではない。

 だから、料理がまずい訳ないのだ。

 そう思って、再びキッチンに戻るプランスの後ろ姿を眺めた。プランス自身の料理を持ってくるのだろう。
 
 一緒に食卓を並べるのは、初めてで、今まではプランスが私の後に食べていた。
 だから、胸が高鳴った。

「今日はやっとプランスと食卓が囲めるんだね」

 呟くと、プランスは満遍の笑みで、振り返った。

 この時のプランスの瞳は満月の光だった。

「いいことだ」