「さぁ、みんなを探しに行こう」

湊は春香の手を引いた。


紫音の前に、理音が立っていた。

「会えて嬉しい。紫音」

「ごめん。俺があの時、手を離さなければ…」

紫音は悔しそうな顔をした。

「もういいんだ。その代わり、ずっと俺と一緒にいてくれる?」

「え?」

「紫音がいれば、寂しくないから」

理音が紫音の手を掴もうとしたその時、

ガルルル!

朱里が飛び込んできた。

「小僧!そいつは邪気だ!斬れ!」

朱里がそう言った途端、理音が邪気へと姿を変えた。

「!!」

紫音は驚き、動けなかった。

「早くしろ!」

その声にはっとした紫音は、刀で邪気を斬った。

「俺とこい。ここを出るぞ」

紫音は、朱里の後をついていった。


天音は、妹の姿を見て、涙を流した。

「本当に、琴音なの?」

「うん」

嬉しそうな無邪気な笑顔で笑っている。

手には天音が買ってやった鞠を持っていた。

「お姉ちゃん、ずっとここであそぼう」

そう言って、鞠を差し出してきた。

天音がそれを受け取ろうとすると、白蛇が現れた。

「それは邪気だ!鞠を受け取るな!」

「だ、誰⁉︎」

いきなり白蛇が現れたことに驚いているようだ。

「私は瑞樹。かつては彩葉の眷属だった。真白に頼まれて、お前を探しにきた。早くあいつを浄化しろ」

さっきまで妹だったのが、邪気に変わっていた。

天音は扇子を出して、邪気を祓った。

「早くここを出るぞ」


「お姉ちゃん…!」

結奈は、姉に抱きついた。

「結奈、大きくなったわね」

そう言って頭を撫でてくれた。

「私、お姉ちゃんを置いて先に逃げて、ごめん」

「いいのよ。あなたが無事でよかった。これからはずっと一緒にいてくれる?」

「え?」

結奈が疑問に思った時、蘇芳が現れた。

「やれやれ、偽物に騙されるなんてね」

「蘇芳…?なんでここに?」

「話はあとだ。それは邪気だ。浄化してここを出るよ」

さっきまで姉の姿をしていたそれは邪気に姿を変えていた。

結奈は笛を出してそれを吹いた。

そして邪気を浄化した。

「会えて嬉しいよ。花蓮」

そう言って、旭は花蓮を抱きしめた。

懐かしい、旭の体温に包まれた。

「ここは暗くて、とても寂しいんだ。だから、俺とずっと一緒にいて」

「だめだ!」

紫音が飛び込んできた。

「紫音⁈」

花蓮は、驚いた様子で言った。

「花蓮、そいつは邪気だ!幼馴染じゃない」

「え?」

見ると、旭の姿は邪気に変わっていた。

「そいつを浄化しろ」

紫音の隣にいた朱里が言った。

花蓮は弓矢を取り出して、邪気に向かって矢を放った。

「早くここを出るぞ」

紫音に手を引かれて、花蓮は走った。