亡くなった幼馴染の姿があった。

「会いたかったよ。花蓮」


「あいつら、どこ行った?」

「どうやらバラバラになってしまったみたいですね」

慧と千輝の二人は生徒たちを探していた。

「大体、ここはなんなんだ」

「おそらく、誰かが術で引き入れたんだと思います」

「だとしたら、あいつしかいないな」

「霧人、ですね」

真白は、学校の近くの花屋であの香水をもらったと言っていた。

千輝は以前、花屋を通ったことがあった。

「あの花屋の青年が何かしたのかもしれない」

「とにかく、あいつらを探すぞ」


真白がしばらく歩いていくと、人影が見えた。

「誰かいる」

近づくと、それは、真白の両親だった。

「お父さん、お母さん!」

真白は走り出そうとした。

「だめよ。こっちにきてはだめ。戻れなくなってしまうわ」

そう言って、真白の母親が止めた。

「ここは夢の中だ。早く目覚めないと、ここから出られなくなってしまう」

真白の父親も口を開いた。

「夢の…中?」

「早くここから抜け出すの。出口はあっちよ」

母親が指差したところに光っている場所があった。

「真白、元気で」

両親が笑顔で見送っていた。



「なんでばあちゃんの家がここに?」

隼人がつぶやいた時、一人の年老いた女性が出てきた。

「隼人、要くんよくきたねぇ」

優しい声で言った。

「そんなところにたってないで中に入りなさい。お茶を入れるから」

二人は言われるがまま、家に入った。

「二人とも本当に久しぶりだねぇ」

ニコニコ笑いながらお茶飲んでいる。

「おばあちゃんは、なんでここに…もう亡くなったんじゃ…」

隼人に小声で話しかけた。

「確かに亡くなった。なんで…」

見たところ、二人が知っている外見だった。

「ずっと一人でいて寂しかったんだ。だから二人とも、ずっとここにいてくれないかい?」

「え?」

隼人と要はその言葉に違和感を覚えた。

隼人の祖母は、二人の前で弱音は決して言わなかったのだ。

「お前、誰だ?」

隼人が言うと、それは邪気の姿に変わった。

「要!隼人!」

琥珀が邪気に飛びかかり、白い光に包まれた。

そして、邪気は消えていた。

「真白?」

二人の前にいたのは真白だった。

「よかった無事で。早くみんなを探してここを出よう」


春香は、千春に連れてこられて、真っ暗な場所にきた。

「私はずっと、ここにいたの。だから春香がきてくれて嬉しい」

千春は嬉しそうに言った。

「これからは、ずっと一緒だよ」

その時、声が聞こえた。

「本条さん!」

湊が暗闇へと飛び込んできた。

「そいつは君の妹じゃない!邪気だ!」

湊がそう言った時、千春の姿が邪気へと変わった。

あの白髪の青年が現れ、弓矢で射抜いた。

そして、邪気は消え失せた。