全員、家庭の問題で、一時的にここにきているらしい。

四人とは小さい頃に会っていた。

小学校が一緒になった隼人と一緒に桜咲家の神社で遊んでいた。

その時は、小学四年生だった。

家が火事になら、姉を亡くした結奈、妹を病気で亡くした天音は、精神的な不調があったため、療養しているそうだ。

紫音は双子の弟を川で溺れた時に亡くなったと聞いた。

それで母親が精神的な病気になったため、しばらく離れて暮らすことになったそうだ。

花蓮は、家がこの近くにあったため、よく遊びにきていた。

しかし、十四歳の時に家に強盗が入り、一緒にいた幼馴染と飼い猫を殺されたショックで声が出せなくなってしまっていた。
その療養のために桜咲家にやってきた。

6人には普通の人にはない力があった。

当時、桜咲家に修行にきていた慧に術を教えてもらっていた。

そのまま高校生になり、みんな同じ学校に通うことになった。

隼人は別の学校に通うことになったため、別々になった。

「でもまた会えて嬉しかった」

真白に会えたことが要の救いだった。


春香は帰る準備をしていた。

（あ、先生）

国語準備室を通ったら、慧の姿があった。

慧の姿を見るたびに、告白したことを思い出す。

慧が春香の方を向いた。

目が会った途端、春香は動けなくなった。

「本条、話がある」

慧がドアを開けて、春香を教室に入れた。

「その、あの時のことなんだが、お前の気持ちには答えられない」

「そうですよね、わかってました。困らせるような事言ってすみません」

春香は、頭を下げて、帰ろうとした。

「待て」

慧が呼び止めた。

「お前、兄弟はいるか？」

「いいえ。私は一人っ子です」

その答えに慧は少し驚いた顔をした。

「そうか…変なことを聞いて悪かったな」

慧は、違和感を覚えた。




「じゃあ、またね」

「うん」

隼人は真白を屋敷まで送ると、自分の家に向かった。

隼人の家は学校の近くにある。

「あなた、花はいかがですか？」

「はい？」

店員の青年は、手にひまわりを持っていた。

（こんな時期に、ひまわり？）

「いかがです？」

隼人が迷っていると、

「結構です」

千輝が隼人の隣に立っていた。

「さぁ、いくよ」

千輝は隼人の腕を掴んで花屋を後にした。


「なんで…」

近くの公園までくると、千輝は手を離した。

「あの花屋に近づいてはダメだ」

隼人はよくわからなかった。

「あの花屋にいる店員は、前世で俺を術で操り、彩葉たちを殺させた男だよ」


「まさか…！」

「あいつは霧人の生まれ変わりだ」


慧は湊の家にやってきた。

「あら、慧くん。久しぶりね」

ほうきで枯葉を集めている女性がいた。

「朱莉さん、お久しぶりです」


「何年ぶりかしら。大学に行ってから全然きてくれないから、湊がお世話になってるのに」

「いろいろ忙しくて、なかなか挨拶ができなくてすみません」

朱莉はテーブルにお茶を置いた。

「この前きてくれたんでしょう？みんなで一緒に」

「はい」

「ごめんなさいね。私出かけてたから」


朱莉は、お茶を一口飲んだ。

「実は、今日はお話があってきたんです」

「何かしら？」

「本条春香についてなんですが。千早さんの娘の」

「春香ちゃんの？」

湊の母親の朱莉と春香の母親の千早は、中学と高校の同級生で、親友だった。

「千早さんは本来、双子の女の子を出産されたはずです。でも今いるのは双子の姉の春香だけだ。妹の千春はどうなったんですか？」