文化祭も終わり、学校もいつも通りの生活になった。

十一月も中旬になった。

もうすっかり肌寒くなった。

「真白」

隼人に呼ばれて振り向いた。

「隼人、どうしたの?」

「学校が終わったら、時間ある?」


学校が終わって、真白は、隼人が来るのを待っていた。

「お待たせ。行こう」

「ここって…」

隼人が連れてきたのは、花畑だった。

「小さい頃にきたことがあったよね?あの時はひまわり畑だったけど」

真白は以前、隼人と一緒にひまわり畑に行った事があった。

「うん。確か隼人のおばあちゃんの家に遊びに行ってその近くにあったんだよね」

隼人の祖母は、亡くなったと前に言っていた。

とても穏やかで優しい人だった。

「真白、今日は言いたいことがあって、本当は夏祭りに言おうと思ってたんだけど…」

「なに?」

真白は隼人を見た。

「ずっと好きだった。俺と付き合ってほしい」

「え…」

真白はあっけにとられた。

今まで、ただの幼馴染としか思っていなかった。

まさか、自分のことを好きだなんて思ってもいなかった。

「あの…私今まで隼人のこと、そう言う目でみたことなくて…だから、ごめん。隼人とは付き合えない」

「そっか…」

隼人は悲しそうな顔をしたが、すぐに立ち上がった。

「内心、振られるんじゃないかと思ってたんだ。この前再開したばかりだし、それに真白は要が好きなように見えたしね。やっぱり前世で惹かれた人には現世でも惹かれるのかな」


「どういうこと?」

「俺、前世でも真白が好きだったから」

隼人の前世は夜叉だ。

暁月が紫音、鈴蘭が結奈、千歳が天音、翡翠が花蓮だ。

「そうだったの?全然わからなかった」

「バレないようにしてたからね。もうその時は白夜と恋仲だったから、俺の入れる隙なんてなかったよ」

(私は要が好きなのかな)


要のスマホに電話がかかってきた。

「もしもし…母さん?怪我はもうすっかり治ったよ。学校にも行ってるし、心配しなくても大丈夫だから」

電話を切り、要は鏡で額の傷を見た。

この傷は一生消えることはないだろう、

周りには、父親と喧嘩をして怪我をしたと言ったが、本当は違う。一方的に父親に殴られてできたものだ。


あの日、要が中学校から帰ると、父親と母親が家にいた。

何か言い争っているようだった。

普段から短気な父は、よく母に暴力をふるっていた。

それを止めに入った要が殴られて怪我をしてしまった。

次の日は卒業式だったが、入院が必要なほどの怪我だったため、卒業式には出られなかった。

高校の入学式にも間に合わず、結局退院できたのは五月の下旬だった。

母は、かなり精神的に参っていたため、しばらく離れて暮らすことになった。

高校もそこから通うことにした。

他にも、紫音、花蓮、結奈、天音がいた。