「何よそれ!私、そんなこと知らないわよ!」

叔母が大声をあげた。

「お前は、真白を引き取る時の話し合いで、途中で出て行って最後まで聞いていなかっただろう」

真白の叔母は、真白を引き取ることに猛反対して、真白の両親の葬式のあと、さっさと帰ってしまったのだ。

「そろそろくるはずだ」

ピンポーン。

家のインターフォンが鳴った。

「噂をすれば。きたようだ」

叔父が玄関に出る。

真白たちも玄関に向かった。

叔父がドアを開けると、背の高い男性がいた。

「夜分に失礼します。こちらに柏木(かしわぎ)真白様はいらっしゃいますか?」

「ええ、この子が真白です」

叔父が私を前に出した。

男が真白に目を向けた。

「あなたが、真白様ですか?」

「はい」

「お迎えに上がりました。まいりましょう」

胸に手を当てて言った。

「えっと、」

「真白!」

叔母が大声をあげた。

「許さない、ここから出て行くなんて!私がせっかく今まで育ててやったっていうのに!」

「お母さんは、真白に酷いことばっかりしてたじゃない!お母さんにそんなこと言う資格ないよ!」

その言葉に叔母は口をつぐんだ。

男が真白の肩に手を置いた。

「さぁ、いきましょう」

真白は男に連れられて家を出た。


「どこに行くんですか?」

しばらく歩いているが、家も何もない。

「着きました」

そこには大きなお屋敷があった。

「どうなってるの…?」

真白が混乱していると、屋敷から一人の少年が出てきた。

「真白、待ってたよ」

真白はその少年に見覚えがあった。

「神崎くん?」

同じクラスの神崎要が立っていた。

「なんで神崎くんがここに?」

「それは中で話すよ。屋敷に入ろう」