「あの子にまで警戒されてますね」

千輝はため息をついた、

「あいつらの前世ではお前が屋敷を襲って、皆殺しにしたことになってるからな」

「話してわかってもらえれば良いんですけど、本当の黒幕がいたことを。でも、それでも俺がやったことに違いないんですけどね」

「俺も、詳細は説明できるが、湊が話したほうが説得力があるだろう」


(こいつ…確か…)

湊は記憶をたどった。

『兄上』

湊の前世の弟だった男に顔が似ている。

「どうされましたか?」


目の前の青年が尋ねてくる。

「あ、いえ…」

青年は、奥に進んで行った。

(帰ったら父さんに聞いてみるか…)


「あれ?みんな何してるの?」

花蓮が出てくると、みんなが受付のところにいた。

「もう少しで終わるから、最後のお客さん出てくるの待ってようと思って。生徒会長と、若い男の人だよね」

「二人が出てきたら、俺たちも着替えよう」

そう言って待っていた。



「君は、いつも一緒にいる子とは一緒にいかなかったのか?」


蘇芳が、一人座っている白髪の少年の前に現れた。

「何かよくない気配がする。あの子たちのところに行ったほうがいいかもね」

蘇芳と少年は、真白たちがいるところへ向かった。


「ねぇ、遅くない?」

「迷子にでもなってるのかも。でも中にも生徒はいるよね?」

「あ、一人出てきたよ。若い男の人」

真白が言った。

「あとは生徒会長だけだけど、様子をみてきた方がいいかも」

花蓮が言った。

「俺がみてくるよ」

要が立ち上がって中に入ろうとした。

「なんだ、これは…」

要が中に入ろうとすると、黒い霧で覆い尽くされていた。

「なんでこんなに邪気が…さっきまでなかったのに」

「どうした?」

紫音もやってきた。

「なんだこれ!」

「どうしたの?」

待っていた真白たちも様子を見にきた。

「やれやれ。大変なことになってるね」

後ろから声が聞こえて、全員振り向いた。

そこには蘇芳と白髪の少年がいた。

「なんであなたがここにいるの?」

真白たちは警戒した。

「そんなことより、この邪気をどうにかしないとまずいことになるよ」

真白たちは、邪気の浄化と、湊を探すために脱出ゲームに入っていった。


「なんで出られないんだ?」

湊は、脱出ゲームの中を彷徨っていた。

「どうなってるんだ」

「おかしいですね」

慧と千輝の二人も同じように迷っていた。

「高嶺先生!」

「湊。お前も迷ったのか。おそらく、何者かが術を使って閉じ込めたのだと思うのだが…」

「術を解かない限り、外部からの助けは求められません。もしくは、術を破られるのを待つしか…」

千輝が言った。

「しかしこの術、霧人と同じ気配がする。今は霧人が生きているわけないし、どうなってるんだ」

「さっき、若い男と入り口の近くで会いました。その男の顔が霧人にそっくりだったんです」

「まさか…生まれ変わっているのか」

千輝が顔を青くして言った。

「もしそうなのだとしたら、危険です」

その頃、真白たちは入り口の前で苦戦していた。

「なにこれ!これ以上先に進めないじゃない!」

天音が言った。

「術がかけられているんだ。まずはこれを解かないと」