そして、いよいよ文化祭当日になった。

文化祭は、一般の人も来るのでかなり混雑する。

慧と千輝は、見回りをしていた。


「ほんとに人が多いですね」

「家族や他校の生徒だけじゃなく、学校の近くの人たちも来てるからな」

二人は一人の青年とすれ違った。

そして、悪寒が走った。

「今のは…」

「まさか…」

二人は青年を追いかけた。


一年生の脱出ゲームは、大好評だった。

天音は、由奈と一緒に受付をしていた。

「楽しんできてくださいねー」

団体で来ていたお客さんを案内した。

その時。

「おねーちゃーん!どこー?」

小さい女の子が迷子になっていた。

「あの子…」

「迷子かな?」

結奈と天音は、受付を他の生徒に変わってもらい、女の子のところに行った。

「どうしたの?」

天音が女の子のまえにしゃがんだ。

「お姉ちゃんとはぐれちゃったの…」

女の子は今にも泣きそうなかおをしている。

「大丈夫だよ。お姉ちゃんたちが一緒に探してあげるから」

結奈も女の子に言った。

「本当に?」

「うん。一緒に探してあげる」

天音は、女の子の手を握って歩き出した。


「ど、どこ行った?」

青年を追いかけてきた慧と千輝は、すっかり見失ってしまった。

「この人混みから探すのは大変ですよ」

「だよな…でも、そっくりだった…霧人に」

「見回りに戻りましょう」

二人が戻ろうとした時、結奈と天音が女の子を連れてきた。

「結奈、天音。どうしたんだ?」

慧が尋ねた。

「この子、迷子になったみたいで…」

「あ、お姉ちゃん!」

女の子は姉を見つけたらしく、天音と結奈と同じ年ぐらいの子に駆け寄った。

「どこ行ってたの?心配したんだからね」

姉のほうは頭を下げてきて、妹のほうは手を振っていた。

「見つかったみたいです」

「そうか。なら、持ち場に戻れ」

「はい」