真白は、いつもより学校に早く着いた。

「今日は早いな」

要が教室にやってきた。

「おはよう。要もいつもより早いね。どうしたの?」

「いつもより早く目が覚めたから、たまには早く学校にこようと思って」

真白が要に初めて会った時は、遅刻してきていた。

「初めて会った時は、遅刻してたもんね」

「そうだったね」

あの日に両親からの手紙が届いて、屋敷に住むことになったのだった。

「あの時、俺が言ったこと覚えてる?」

「確か、前世では私たちは恋人同士だったんでしょ?」

「うん。それで俺は前世で君に約束した。生まれ変わっても必ず見つけるって。そしてまた一緒に生きていくって約束したんだ」

真白の夢でも、その場面は何度も出てきた。

「俺は、そうなれたらいいと思ってる。もちろん無理強いはしないけど」

「でも、好きな人とか他にいないの?結奈とか」

要の肩がピクッと震えた。

「…実は昨日、告白されたんだ。俺は真白が好きだからって断ったんだけどね」

「え?嘘、ほんとに?」

「うん。ほんとだよ」

真白は不思議に思った。

なぜ要はそこまでこだわるのだろう。

いくら前世で恋人だったとはいえ、かなり固執している。

「気になってたんだけど、どうしてそんなにこだわるの?今の人生と前世の人生は、全く違うのに」

「俺も最初は不思議だった。どうしてここまでって思ってた。でも夢にみればみるほど、会いたくなって、愛おしくてたまらなくなったんだ。その時の俺はまだ君と会ってもいなかったのに」

真白もそうだった。

それこそ、運命の相手とでも言うのだろうか。

花蓮は気がかりなことがあった。

(どういうこと?私たちは、前世で殺された?でも、そんな記憶ない…思い出していないだけ?)

「花蓮、朝ごはんできたから、結奈呼んできて」

「え?まだ起きてないの?」

いつもならとっくに起きている時間だ。

「うん。具合でも悪いのかな」

花蓮は結奈の部屋のドアをノックした。


「結奈、朝ごはんできたよ」

しかし、返事はない。

『結奈、入るよ」

結奈は毛布にくるまっていた。

花蓮はベッドに近づいた。

「具合悪いの?」

結奈が顔を花蓮の方に向けた。

「違うの。昨日あんまり寝れてなくて」

目が充血している。

「どうしたのその顔。怖い夢でもみたの?」

「久しぶりに家が火事になった時の夢見ちゃって、それでなかなか寝れなかったの」

結奈の体が震えていた。

「大丈夫?学校いけそう?」

「うん。学校に行ったほうが気晴らしになるから」

そう言って結奈はベッドから出た。