「それは、彩葉が自分の従者に力を分け与えたからだ」
「なるほど。あの六人か」
蘇芳は、思い出したように言った。
「今は、全員揃ってないから意味がないな。また改めてくるよ」
そう言って、消えた。
蘇芳が消えた後もまだ結奈は震えていた。
「結奈、いったいどうしちゃったの?」
真白は要に尋ねた。
「結奈は火が苦手なんだ。前に、家が火事になって、お姉さんをなくしてるから」
「…そうだったんだ」
結奈は要に任せて、真白は琥珀と一緒に家に帰った。
結奈は、要におぶられていた。
「要?」
「結奈、良かった。大丈夫か?」
「うん。重いでしょ。一人で歩けるから、おろして」
結奈がそう言うと、要は結奈をおろした。
「ごめん。迷惑かけて。真白も驚いてたでしょ?」
「心配してたけど、大丈夫って言っておいたから」
「そっか。ありがとう」
しばらく沈黙が流れた。
「要はさ、真白のことが好きなんだよね?」
真白に会えたと言ってきた、要の嬉しそうな顔は今でも覚えている。
「うん。好きだよ」
即答されたので、結奈は少し悲しかった。
「あのね、要。私は…」
言葉にしようとすると余計緊張してくる。
「私は、要が、好き、なんだけど」
要は、一瞬驚いていたが、すぐに元の表情に戻った。
「ごめん。俺が好きなのは、真白だから」
「うん。そうだよね。変なこと言ってごめん」
結奈の家が見えてきた。
「ここで大丈夫。送ってくれて、ありがとう」
「じゃあ、また」
要は少し気まずそうに帰って行った。
要が見えなくなった後、結奈は、少しだけ、泣いた。
春香は、帰ってきてからすぐに自分の部屋にこもった。
『先生のこと好きって言ったら困りますか?』
(なんであんなこと言ったんだろ…)
その時の慧の顔は困惑していた。
「明日から合わせる顔がない…」
机に置いてある花が揺れた気がした。
湊は家で、桜咲家に伝わる本を読んでいた。
「彩葉の母親のことから書かれてる。母親の名前は蒼葉。父親の名前は新羅。…やっぱり、俺の記憶と同じだ」
本をみながら湊は呟いた。
「蒼葉は、別に夫がいた。でもその夫の仕打ちに耐えられず夫の従者の一人であった新羅と逃げ出す。そして逃げた先で夫の兄夫婦に助けられ、身を隠した」
そこまで読んで、湊は息を吐いた。
「この新羅って言うやつの主人が、霧人か。残り二人の従者は陽瑛と未影。この二人のことは、どこに載ってるんだ?」
パラパラとページをめくったが、記載はなかった。
「また明日にするか」
パタンと本を閉じた。
「あの先生のことはわからないんだよな。高嶺先生なら知ってるんだろうけど」
その時、部屋のドアが開いた。
「ん?どうした?」
そこには白髪の少年が立っていた。
「なるほど。あの六人か」
蘇芳は、思い出したように言った。
「今は、全員揃ってないから意味がないな。また改めてくるよ」
そう言って、消えた。
蘇芳が消えた後もまだ結奈は震えていた。
「結奈、いったいどうしちゃったの?」
真白は要に尋ねた。
「結奈は火が苦手なんだ。前に、家が火事になって、お姉さんをなくしてるから」
「…そうだったんだ」
結奈は要に任せて、真白は琥珀と一緒に家に帰った。
結奈は、要におぶられていた。
「要?」
「結奈、良かった。大丈夫か?」
「うん。重いでしょ。一人で歩けるから、おろして」
結奈がそう言うと、要は結奈をおろした。
「ごめん。迷惑かけて。真白も驚いてたでしょ?」
「心配してたけど、大丈夫って言っておいたから」
「そっか。ありがとう」
しばらく沈黙が流れた。
「要はさ、真白のことが好きなんだよね?」
真白に会えたと言ってきた、要の嬉しそうな顔は今でも覚えている。
「うん。好きだよ」
即答されたので、結奈は少し悲しかった。
「あのね、要。私は…」
言葉にしようとすると余計緊張してくる。
「私は、要が、好き、なんだけど」
要は、一瞬驚いていたが、すぐに元の表情に戻った。
「ごめん。俺が好きなのは、真白だから」
「うん。そうだよね。変なこと言ってごめん」
結奈の家が見えてきた。
「ここで大丈夫。送ってくれて、ありがとう」
「じゃあ、また」
要は少し気まずそうに帰って行った。
要が見えなくなった後、結奈は、少しだけ、泣いた。
春香は、帰ってきてからすぐに自分の部屋にこもった。
『先生のこと好きって言ったら困りますか?』
(なんであんなこと言ったんだろ…)
その時の慧の顔は困惑していた。
「明日から合わせる顔がない…」
机に置いてある花が揺れた気がした。
湊は家で、桜咲家に伝わる本を読んでいた。
「彩葉の母親のことから書かれてる。母親の名前は蒼葉。父親の名前は新羅。…やっぱり、俺の記憶と同じだ」
本をみながら湊は呟いた。
「蒼葉は、別に夫がいた。でもその夫の仕打ちに耐えられず夫の従者の一人であった新羅と逃げ出す。そして逃げた先で夫の兄夫婦に助けられ、身を隠した」
そこまで読んで、湊は息を吐いた。
「この新羅って言うやつの主人が、霧人か。残り二人の従者は陽瑛と未影。この二人のことは、どこに載ってるんだ?」
パラパラとページをめくったが、記載はなかった。
「また明日にするか」
パタンと本を閉じた。
「あの先生のことはわからないんだよな。高嶺先生なら知ってるんだろうけど」
その時、部屋のドアが開いた。
「ん?どうした?」
そこには白髪の少年が立っていた。