夏休みが終わり、ニ学期が始まった。

教室にいくと、何やらざわついていた。

「何かあったの?」

真白は話していたクラスの女子に聞いた。

「今日から、副担任の先生が来るんだって。すっごいイケメンなんだって」

(それでみんな騒いでるんだ…)

春香も教室に入ってきた。

「なんか騒がしくない?」

「かっこいい先生が副担任でくるんだって」

「へぇ、って言うかうちのクラスってイケメン率高いよね。神崎くんに黒崎くん、あと…高嶺先生も」

春香の顔が少し赤い気がした。

「春香、顔赤いけど、大丈夫?」

真白が心配そうに見ている。

「え⁉︎あぁ、外暑かったからかな」

チャイムがなって、生徒が席に着いた。

慧の後ろに、千輝の姿があった。

(あの人…!)

以前彩葉の記憶を見た時に出てきた、屋敷を襲った男だ。

要と隼人も同じく動揺していた。

「今日から、このクラスに副担任何入ることになった。では、挨拶を」

「はい。今日から皆さんのクラスの副担任になりました。冴島(さえじま)千輝です。みんな、よろしくね」

大きな拍手が上がった。

「今日は、午前中で学校が終わるから、始業式が終わった後はすぐ下校するように」

生徒が続々と下校した。

真白は、教室に忘れ物をしてしまい、取りに戻っていた。

教室には千輝がいた。

「あれ、どうしたの?忘れものかな?」

「筆箱を忘れたんです」

ところが筆箱が見当たらない。

「どうしたの?もしかして、見つからない?」

千輝が真白の方へ近づいてきた。

「一緒に探そうか?」

「だ、大丈夫です!」

真白の顔を見た千輝が、何かに気づいた顔をした。

「確か、柏木真白さんだよね?蒼さんと翼さんの娘の」

真白は冷や汗をかいた。

「どうして両親の名前を…」

「君のご両親には小さい頃にお世話になってたんだ。君が生まれる前だからわからないか。ご両親のことは聞いたよ。大変だったね」

おそらく亡くなったことを言っているのだろう。

「真白!」

その時、隼人が走ってきた。

「戻って来ないから心配してたんだ。早く帰ろう」

そう言って、真白の腕を掴んだ。

隼人は去り際に、千輝を睨んだ。

「嫌われてるなぁ」

誰もいなくなった教室で、千輝はつぶやいた。


「隼人、あの人…」

「あぁ前世で彩葉の屋敷を襲った男だ。まだ前世の記憶が戻ってるかわからないけど」

隼人が拳を握りしめた。

「あ、いた。2人ともどこにいたんだ?」

要が歩いてきた。

「教室、あとあいつがいた」

「…俺たちを殺した男か…」

要の表情が険しくなった。

「生徒会長か、高嶺先生に言った方がいいよ」

「そうだな、行こう」


春香は家に帰る途中で、花屋を見つけた。

「こんなところに花屋なんかできたんだ」

立ち止まって、中をのぞいた。

「いらっしゃいませ」

中から店員が出てきた。

若い青年だ。

その青年をみた途端、激しい頭痛に襲われた。

「なに…これ…」

耐えられず、しゃがみ込んだ。

「お客様?大丈夫ですか?」