そこで記憶は終わった。

「今のって…」

最後の場面は、真白が何度も夢で見ていた光景だった。

さらにそれぞれ仕えていた人物が隼人、紫音、結奈、天音、花蓮と同じ顔だった。

「みんなが、彩葉に仕えていたの?」

「そうだ。君たちが出会ったのは偶然じゃない。出会うべくして出会ったんだ」


その頃、隼人と花蓮は、はぐれた要と結奈を探していた。

「ねえあなたって真白のことが好きなの?」

いきなりのことに隼人は驚いた。

「え⁈なんで今そんなこと聞くの?」

「なんとなく。幼馴染なんでしょ?」

「真白のことは、好きだよ。家の事情もあるけど、真白に会いたくて、転校してきた面もあるから」

「それって結構重いと思うんだけど」

「うん。自分でもそう思うよ。でも、もう後悔したくないから」

隼人は、空を見上げて言った。

「後悔?」

「俺、前世で言えないまま彩葉が死んだから。でもその時はすでに子供もいたから、どっちみち言えなかったと思う」


それを聞いていた花蓮が懐かしむように言った。

「私も幼馴染がいたんだけどね、二年前に亡くなったの。家に強盗が入ってきて。その時私も一緒にいたけど、私は助かったの。家で飼ってた猫もその時に死んだからショックでしばらく声が出なくなったし、血を見るのも怖くなった。それで環境を変えるために、こっちに引っ越してきたの。今は、天音と結奈と一緒の家に暮らしてる」

衝撃的だったのか、隼人は何も言えずにいた。

「ごめん。いきなりこんな話されても困るよね。でも、黒崎くんは、幼馴染に似てるんだよね」

「そうなんだ。ごめん。辛いこと思い出させた」

花蓮は首を振った。

「聞いたのは私なんだから気にしないで」

「お前たちもきてたのか」

そこに慧と千輝が通りかかった。

「高嶺先生!大変なんです!真白が急に消えたんです」

隼人が焦った様子で伝えた。

「は?どういう事だ?」


由奈と要ははぐれた紫音と天音を探していた。

「こんなにはぐれることなんてなかなかないよな」

「ほんとだよね」

前の方で走っている3人組を見つけた。

「あれって…」

「本条さんと湊さん?もう一人は…誰だ?」

「とにかく、行ってみよう!」

二人は走り出した。

「本条さん、湊さん!」

要が呼ぶと、二人が振り向いた。

「要と、結奈?ちょうどよかった!今真白ちゃんのところを追いかけてるんだ」

「え?なんでですか?」

「様子がおかしいんだ!今だってこうして走ってるのに全然追いつかないから、誰かが術を使ってるのかもしれない!術を解いてくれないか?」

「わ、わかりました!」

要が札を真白のいる場所に投げつけた。

すると、パリンと言う音がした。

気がつくと、森の中にいた。

「やれやれ、術が解かれてしまったか」

そこには、蘇芳と真白がいた。


「またはぐれたな」

「ほんと、今日はなんなの?」

紫音と天音がうんざりした顔で歩いていた。