花蓮、天音、結奈の三人は、同じくみんなを探していた。

「こんなことなら、他のみんなと一緒にくればよかったよね」

「でも途中ではぐれてたかもしれないでしょ」

天音と結奈の二人はそんな話をしていた。

「ねぇ花蓮」

天音が後ろを歩いている花蓮に声をかけた。

しかし、花蓮の姿はなかった。

「花蓮?どこ行ったの?」

呼びかけても返事はない。

「もしかしてはぐれちゃった?」

結奈が言った。

「そうみたい…」


「しかし、ほんと誰とも会わないな」

「そうだな。このまま祭、終わったりして」

要と紫音は、そんな話をしながら歩いていた。

「花蓮!どこ⁉︎」


前方から、天音と結奈が走ってきた。

「お前ら、どうしたんだ?」

走ってきた二人に紫音がたずねた。

「花蓮がいなくなったから探してるの」

「さっきまで一緒だったのに」

「じゃあ、一緒に探そう」

要がそう言った時、大勢の人が四人の間を通った。


「あれ?紫音と天音は?」

人混みが引くと、紫音と天音の姿がなかった。

「あの人混みではぐれたみたいだ」

要が、そう言った。

「え?また?」

「とにかく、二人を探そう」


「どうなってるんだ…」

さっきまで、着物を着た二人組がいた場所は消えてしまった。

「二人ともどこ行ったの?」

花蓮が途方にくれていた。

「えっと、確か白井さん?」

「あなた、転校生の…」

花蓮を見つけた隼人は声をかけた。

「こんなところでどうしたの?」

「天音と結奈と一緒にいたんだけど、はぐれたの」

「俺も、真白といたんだけど、気づいたらいなくなってた。着物を着た二人組を見て歩いて行ったんだ。そしたら、いきなり風が強く吹いて、真白も2人組も消えてた」

「え?」

「だから、早くみんなと合流しないと」


春香と湊は周りをキョロキョロしていた。

「これだけ探したら、誰かとは会うと思ったんだけど…」

「誰にも会わないですね。さっき高嶺先生はいたんですけど…」

「見回りできてるんでしょ」

「はい」

その時、後ろを歩いていた少年が湊の肩を叩いた。

「どうした?」

少年が指差した方向を見る。

そこには…

「真白!」

ふらふらと歩いていく真白がいた。

「真白ちゃん!様子がおかしいな」

三人は急いで真白を追いかけた。


真白はふらふらと、誰かに操られているように歩いていた。

「ここ、どこ?私隼人と一緒にいたのに…」

真白は辺りを見渡した。

そこはくらい森の中だった。

「よくきたね、真白」

気がつくと、目の前に鬼のお面をした男が立っていた。

「あなた、誰?」

「私は鬼神の蘇芳(すおう)。かつて、彩葉の眷属だった鬼だよ」

(この鬼が彩葉の最後の眷属…)

蘇芳は、ゆっくりお面を外した。

その顔は、普通の人間の顔をしていた。

「あなたも人間に化けてるの?」

「いや、これは私の本来の姿だ」

綺麗な顔をしていた。

「それで、私に何の用なの?」