「真白」

屋敷に帰ると、琥珀と朱里が待っていた。

「どうしたの?二人とも」

「祠から蛇神の気配がする」

屋敷の裏のところに祠があったような気がする。

「蛇神って、彩葉の眷属だった?」

「そうだ。今までなぜ気づかなかったのか、よほど強い力で封じられていたのだろう。だが、術が弱まり始めている。今なら封印を解ける」


真白は屋敷の裏にある祠にやってきた。

「これだ」

朱里が目配せした。

「でもどうやって封印を解くの?」

「祠に手をかざせ」

真白が手をかざすと、扉のようになっていたところが開いた。

「開いた」

ここまで簡単に開くのかと拍子抜けした。

中からは、真っ白な蛇が姿を現した。

「お前、彩葉か?」

蛇神が真白を見て言った。

「違う。彩葉は私の前世。私は真白っていうの」

「私は瑞稀(みずき)。封印を解いてくれたこと、感謝する。真白」


屋敷の前に黒い影があった。

「蛇神も封印から解き放たれた。さすがは彩葉の魂を持つ娘だ」