「よかった。目を覚まして」

真白は布団に寝かされており、横には要がいた。 

真白の手を握っている。

「神崎くん?」

不思議と触られても嫌な感じはしなかった。

「真白ちゃん!」

湊が部屋に入ってきた。

二人は慌てて手を離した。

「もしかして、お邪魔だった?」

「いえ、それよりなんでここに?」

「高嶺先生に言われてきたんだ。様子を見てきてほしいってね。あのあと、紫音たちと向かったけどもう終わった後だったから」

(そうだ、狗神が現れたんだった)

「狗神の邪気を祓った後、倒れたんだよ」

「高嶺先生は?」

「急いで校舎に戻って行ったけど」


春香は、高嶺が戻って来るのを待っていた。

教室のドアが開いた。

「本条、もう野犬はいないから大丈夫だ」

「本当ですか?」

「ああ、もう帰っても大丈夫だ」

「それじゃあ、帰ります」

そう言って春香は、教室から出て行った。

「さっき、本条に狗神が見えたのはただの偶然か?そういえば、柏木とは親戚だったか」

真白と親戚だとしたら、可能性はなくはない。

「注意して見ておくか」


「ところで、なんで高嶺先生は、桜咲家と関わりがあるの?」

真白はずっと不思議に思っていた。

「俺たちに術とかを教えてくれたのが高嶺先生なんだ」

(だからみんな、高嶺先生と親しげだったんだ)

「高嶺先生も昔、桜咲家にお世話になってたらしいよ。高嶺先生の家も術者の家系で、修行にきてたんだって」

「そうだったんだ」

 要が腕を組んでいった。

「あともう1人きてたんだけど、なんて名前だったかな…」