空がいきなり夜に変わり、旧校舎に残っていた五人は混乱していた。
「狗神が出たのかもしれない」
湊がつぶやいた。
「え?」
四人は一斉に湊を見た。
「狗神には時間を歪める力があるんだ。だから夕方だったのが夜になったのかも」
「まだ学校に、生徒が残ってるんじゃ…」
紫音が青ざめながら言った。
「あやかしは、姿が見えない限り襲ってくることはない。あやかしが見えるほどの霊力を持っている人間なんてそうそういない」
「そうだとしても、早く捕まえないと」
結奈が怯えたように言った。
「そうだね。狗神は強い霊力を持っている。複数人出ないと捕まえることは難しい。とりあえず、ここにいる全員で向かった方がいい」
五人は、狗神の元へ向かった。
「なんですか?これ…」
真白は、あたり見渡した。
「狗神の力によって時間が歪んでるんだ。とにかく結界を張って狗神が逃げないようにしろ」
高嶺が要に言った。
「わ、わかりました」
要が五芒星の紙を四方向に貼った。
すると薄い膜ができた。
「これで逃げ場はないな。この狗神完全に我を失っているな。長い間邪気がついていたせいか?」
狗神からは黒い霧のようなものが出ている。
「あの黒い霧みたいなの何?」
真白は要に尋ねた。
「あれが邪気だ。単体だと黒いもやの塊だけど、あやかしにとりつくと、黒い霧に変わるんだ。邪気が溜まりすぎると、害を与えて来るんだ」
あの狗神はかなりの霧に包まれている。
「グルル…」
狗神は唸り声を出してこっちに近づいてくる。
「真白は下がって。俺が邪気を祓うから」
真白は高嶺に肩を掴まれた。
要が何か唱え始めた。
しかし、祓いきれなかった。
「やっぱり俺一人じゃダメか…」
狗神が要に飛びかかった。
「神崎くん!」
間一髪のところで避けた。
「まずいな、早く邪気を祓わないと…」
要が立ち上がった時、狗神は真白の方に走り出した。
「真白!」
後ろにいた高嶺が前に出て庇おうとする。
あと少しで狗神が真白に届きそうになった時、狗神が吹き飛ばされた。
そして黒い霧が消し飛んだ。
『娘、感謝する』
狗神の声が真白の頭の中に響いた。
その途端、真白は気を失った。
「彩葉様」
優しい声に呼ばれて目を開けた。
「白夜…」
白夜が彩葉の頬に触れた。
「そろそろ布団でおやすみになった方がよろしいのでは?」
彩葉が頭をのせていたのは、白夜の膝の上だった。
「だって、私が布団で寝たらいなくなってしまうでしょう?」
「では、彩葉様が眠るまで、手を握っていますね」
白夜は彩葉を抱えて布団まで運ぶと、両手で彩葉の右手を包んだ。
「おやすみなさいませ。彩葉様」
彩葉は再び目を閉じた。
(今のは…夢?)
真白は目を開けた。
「狗神が出たのかもしれない」
湊がつぶやいた。
「え?」
四人は一斉に湊を見た。
「狗神には時間を歪める力があるんだ。だから夕方だったのが夜になったのかも」
「まだ学校に、生徒が残ってるんじゃ…」
紫音が青ざめながら言った。
「あやかしは、姿が見えない限り襲ってくることはない。あやかしが見えるほどの霊力を持っている人間なんてそうそういない」
「そうだとしても、早く捕まえないと」
結奈が怯えたように言った。
「そうだね。狗神は強い霊力を持っている。複数人出ないと捕まえることは難しい。とりあえず、ここにいる全員で向かった方がいい」
五人は、狗神の元へ向かった。
「なんですか?これ…」
真白は、あたり見渡した。
「狗神の力によって時間が歪んでるんだ。とにかく結界を張って狗神が逃げないようにしろ」
高嶺が要に言った。
「わ、わかりました」
要が五芒星の紙を四方向に貼った。
すると薄い膜ができた。
「これで逃げ場はないな。この狗神完全に我を失っているな。長い間邪気がついていたせいか?」
狗神からは黒い霧のようなものが出ている。
「あの黒い霧みたいなの何?」
真白は要に尋ねた。
「あれが邪気だ。単体だと黒いもやの塊だけど、あやかしにとりつくと、黒い霧に変わるんだ。邪気が溜まりすぎると、害を与えて来るんだ」
あの狗神はかなりの霧に包まれている。
「グルル…」
狗神は唸り声を出してこっちに近づいてくる。
「真白は下がって。俺が邪気を祓うから」
真白は高嶺に肩を掴まれた。
要が何か唱え始めた。
しかし、祓いきれなかった。
「やっぱり俺一人じゃダメか…」
狗神が要に飛びかかった。
「神崎くん!」
間一髪のところで避けた。
「まずいな、早く邪気を祓わないと…」
要が立ち上がった時、狗神は真白の方に走り出した。
「真白!」
後ろにいた高嶺が前に出て庇おうとする。
あと少しで狗神が真白に届きそうになった時、狗神が吹き飛ばされた。
そして黒い霧が消し飛んだ。
『娘、感謝する』
狗神の声が真白の頭の中に響いた。
その途端、真白は気を失った。
「彩葉様」
優しい声に呼ばれて目を開けた。
「白夜…」
白夜が彩葉の頬に触れた。
「そろそろ布団でおやすみになった方がよろしいのでは?」
彩葉が頭をのせていたのは、白夜の膝の上だった。
「だって、私が布団で寝たらいなくなってしまうでしょう?」
「では、彩葉様が眠るまで、手を握っていますね」
白夜は彩葉を抱えて布団まで運ぶと、両手で彩葉の右手を包んだ。
「おやすみなさいませ。彩葉様」
彩葉は再び目を閉じた。
(今のは…夢?)
真白は目を開けた。