「桜咲…あなたが」
目の前にいる生徒が要が言っていた、真白の親戚である桜咲の人間だ。
「真白ちゃんとは親戚同士になるね」
そう言うと、他のみんなの方を向いた。
「今回遅れたのは高嶺先生のせいじゃないからみんなもそんなに怒らないで」
「生徒会長が、一体なんのご用ですか?」
紫音が尋ねた。
「実は、この辺りで野犬が出ているんだ。あやかしかもしれないから、邪気がついていた場合、祓ってほしいんだ」
「祓うだけなら、あなた一人で十分でしょう?」
花蓮が言った。
「実は、ただのあやかしじゃない可能性があるんだ。彩葉の、眷属だったかもしれないんだ」
空気が張り詰めた。
「まさか、狗神ですか?」
「たぶん、元々黒いから、邪気がついてるかはわからないけど」
「彩葉の眷属ってどういうこと?」
他のみんなとは一旦別れて、真白は屋敷に帰ることにした。
隣を歩く、要が答える。
「彩葉は、四人のあやかしと契約をしていた。従者みたいな感じかな。彩葉が亡くなって、かなりの年月が経っている。そのうちの一人が狗神の朱里。あとは九尾の狐の琥珀もそうだ」
「え?琥珀もそうなの?」
要が頷いた。
「うん。琥珀はずっと桜咲家を守ってくれているんだ。彩葉の子孫の一族だから」
その時、大きな黒い影が横切った。
「今の何?」
真白と要は立ち止まった。
「邪気にしては大きいし…まさか…!」
要は影を追って走り出した。
春香は、教室に忘れ物を取りにきていた。
「本条、まだいたのか。もう暗くなるから早く帰れ」
高嶺が教室に入ってきた。
「忘れ物したので取りに来たんです。もう見つかったので帰ります」
「そうか気をつけて…」
高嶺が言いかけた時、黒い影が走っていくのが見えた。
「え?なんですか、あれ。犬?」
「ん?」
高峯は春香がみていた方向を見た。
(どう考えても犬の大きさじゃない!まさか、狗神か?だとしたら、なぜ本条にあれが見えている?)
あやかしは本来、霊力を持った人間しか見ることのできないはずだ。
「先生、絶対に犬でしたよね?でもそれにしては大きかったような…」
春香にははっきり見えていたようだ。
しかし、今はそんなことに構っていられない。
「本条!いいか、野犬かもしれないから俺が戻って来るまで絶対に教室から出るな」
「あ、わかりました…」
春香の返事を聞くと、高嶺は急いで狗神が走って行った方向に向かった。
「速すぎて追いつけないよ!」
真白と要は大きな影を追いかけていた。
「みたところ、どう見ても普通の犬じゃない。おそらく、狗神で間違いない」
要は走りながら言った。
「大体、今は夕方だぞ。夜に出るんじゃなかったのか!」
「おい!お前ら!」
後ろから高嶺が走ってきた。
「高嶺先生!狗神が!」
要が高嶺に向かって叫ぶ。
「やっぱりそうだったのか。このまま走っても追いつけない。狗神が逃げないように結界を張るんだ」
その時、狗神が立ち止まり、遠吠えをあげた。
ワォーン!
夕焼けだった空があっという間に夜になった。
目の前にいる生徒が要が言っていた、真白の親戚である桜咲の人間だ。
「真白ちゃんとは親戚同士になるね」
そう言うと、他のみんなの方を向いた。
「今回遅れたのは高嶺先生のせいじゃないからみんなもそんなに怒らないで」
「生徒会長が、一体なんのご用ですか?」
紫音が尋ねた。
「実は、この辺りで野犬が出ているんだ。あやかしかもしれないから、邪気がついていた場合、祓ってほしいんだ」
「祓うだけなら、あなた一人で十分でしょう?」
花蓮が言った。
「実は、ただのあやかしじゃない可能性があるんだ。彩葉の、眷属だったかもしれないんだ」
空気が張り詰めた。
「まさか、狗神ですか?」
「たぶん、元々黒いから、邪気がついてるかはわからないけど」
「彩葉の眷属ってどういうこと?」
他のみんなとは一旦別れて、真白は屋敷に帰ることにした。
隣を歩く、要が答える。
「彩葉は、四人のあやかしと契約をしていた。従者みたいな感じかな。彩葉が亡くなって、かなりの年月が経っている。そのうちの一人が狗神の朱里。あとは九尾の狐の琥珀もそうだ」
「え?琥珀もそうなの?」
要が頷いた。
「うん。琥珀はずっと桜咲家を守ってくれているんだ。彩葉の子孫の一族だから」
その時、大きな黒い影が横切った。
「今の何?」
真白と要は立ち止まった。
「邪気にしては大きいし…まさか…!」
要は影を追って走り出した。
春香は、教室に忘れ物を取りにきていた。
「本条、まだいたのか。もう暗くなるから早く帰れ」
高嶺が教室に入ってきた。
「忘れ物したので取りに来たんです。もう見つかったので帰ります」
「そうか気をつけて…」
高嶺が言いかけた時、黒い影が走っていくのが見えた。
「え?なんですか、あれ。犬?」
「ん?」
高峯は春香がみていた方向を見た。
(どう考えても犬の大きさじゃない!まさか、狗神か?だとしたら、なぜ本条にあれが見えている?)
あやかしは本来、霊力を持った人間しか見ることのできないはずだ。
「先生、絶対に犬でしたよね?でもそれにしては大きかったような…」
春香にははっきり見えていたようだ。
しかし、今はそんなことに構っていられない。
「本条!いいか、野犬かもしれないから俺が戻って来るまで絶対に教室から出るな」
「あ、わかりました…」
春香の返事を聞くと、高嶺は急いで狗神が走って行った方向に向かった。
「速すぎて追いつけないよ!」
真白と要は大きな影を追いかけていた。
「みたところ、どう見ても普通の犬じゃない。おそらく、狗神で間違いない」
要は走りながら言った。
「大体、今は夕方だぞ。夜に出るんじゃなかったのか!」
「おい!お前ら!」
後ろから高嶺が走ってきた。
「高嶺先生!狗神が!」
要が高嶺に向かって叫ぶ。
「やっぱりそうだったのか。このまま走っても追いつけない。狗神が逃げないように結界を張るんだ」
その時、狗神が立ち止まり、遠吠えをあげた。
ワォーン!
夕焼けだった空があっという間に夜になった。