孤児院に戻ってきたらマリヴェラが孤児院の子供達とパニックになっていた。
マリヴェラの肩を抱いて、落ち着かせる。
「どうしよう! ペリルとポーラにもしものことがあったら!
ペリルとポーラはハーヴァン孤児院で育てている子供だ。
まだ10歳に満たないがしっかり者のため近隣にあるトラッタの街へ買い物に行かせている。
情報は少ないが……手段はある。
「マリヴェラ、【魔眼】を使えるか」
「え?」
「【千里眼】があるだろ。2人が出かけてからそんなに時間は経っていない。誘拐されたとしても射程圏にいるはずだ」
「そうね! ごめんなさい……気付かなかった」
「気にするな、そのために俺がいるんだ。マリヴェラ、意識を集中させよう」
マリヴェラの手を握って気持ちを落ち着かせる。
心優しいマリヴェラは孤児院の子供達に真っ直ぐな愛情を注いでいる。
だからそれに応えてみんなママが大好きなんだよ。
魔眼のスキルの1つ、【千里眼】を発動させる。マリヴェラは目を瞑って意識を集中させた。
「見えた! ……男がペリルとポーラを抱えている」
やはり誘拐か……。
しかし妙だ。2人には孤児院の出身の証である胸章を付けさせているから身代金目的はありえない。
トラッタの街は比較的治安もいいからこんな騒ぎ1度もなかったはずなのに……。
「トラッタの街の郊外にある倉庫街……そこに入っていったわ」
「あそこは今は無人のはずだが……。何であんな所に」
これで2人の居場所が分かった。単独犯とは思えないな。
身代金じゃなかったら身売りか……。
くそ、俺の娘を売らせるわけにはいかない。
「マリヴェラ、トラッタの街の帝国警察に連絡してくれ」
「ロードはどうするの!?」
「助けにいく」
「危険よ! 相手は何人いるか分からないのよ!」
マリヴェラの言いたいことも分かる。
「だけど子供達が傷つけられてるかもしれないと思うと我慢できないんだ。大丈夫、俺には【おん返し】スキルがあるから」
マリヴェラを宥めてさっそく出発した。
街の郊外の倉庫区画なら行ったことがある。
このあたりは草原で見晴らしもよい、連続で【空間転移】すればあっと言う間に到着する。
俺は連続で【空間転移】をして倉庫区画に入る。
一番奥の倉庫、そこに人の気配がする。
1人2人じゃない……。おそらく複数人が騒いでいる。この中に俺の愛娘を拐かしたやつがいるのか。
考える間もなく、倉庫の扉を開いた。
「ペリル、ポーラ! ここかぁ!」
扉を開けたそこは広い空間の物置となっており、木材が多く置かれている。
工作機械に酒瓶や食料が散乱している。奥にはこの街であまりみない格好のゴロツキ達が俺を見ていた。
どこだ。2人はどこにいる。……俺の娘2人は大柄な男達に囲まれて怖がりながら支え合っていた。
その姿を見て頭に血が上る。
「俺の娘に何しやがったあぁぁ!?」
正直ブチ切れていた。
俺は孤児院の娘、息子達に多大なる愛情を注いでいる。
そんな娘達を怖がらせたことが何よりも許せなかった。
「な、なんだてめぇ」
「おぅ、にーちゃん。ノコノコと何しに来た」
一番近くにいたゴロツキどもがのっそりと俺に近づいてくる。
もはや言い訳無用。
頭に血が上っていた俺は問答無用でこいつらをぶん殴った。
スキルとか関係ない。単純な殴打だ。
「んだぁこの野郎!」
別のゴロツキが棍棒を振り下ろしてくるがそれも棍棒ごと拳で吹き飛ばし、ゴロツキの顔面に拳をぶち込む。
ナイフを取り出してきたゴロツキに対しても掌底を腹部にぶち込み吹き飛ばす。
娘達の恩返しのおかげで【攻撃力アップ】【防御力アップ】のスキルが常時発動として常に俺のステータスに補正が行われていた。
俺の能力は成長率はともかく、実ステータスはわりととんでもないことになっている。
天才のステータスが付与されるのだから当然だ。
あと、10歳の時に殺されそうになった一件以来鍛錬だけは欠かさずに行っていたので、基礎体力には元々自信がある。
武器とか魔法の才はないが単純な殴り合いならこっちに分があるんだ
「おかしら、こいつつえーぞ!」
ゴロツキの1人が暗闇の奥に声をかける。
鈍そうな声がして俺はそちらに顔を向けた。
のっそりと足音を立てて近づいてきたのは2アメル(メートル)以上の身長に大柄な体格の男……でかい。
「ほ~お、ガキ達の身内かぁ……よくここが分かったなぁ」
「子供達を返してもらう」
「俺を倒せたらなぁ!」
「っ!」
大男は背負うグレートアックスを思いっきり振り下ろしてきた。
直感的に回避系のスキルを発動、ギリギリ避けることに成功する。
振り下ろされた大斧は地面に大きな穴を作った。
こんなの普通にくらったらひとたまりもないな。
大男はなおも斧を振り回して来る。
思ったより手慣れた動きだ。ただのゴロツキの動きじゃない……。
「逃げてばっかじゃ助けられねぇぞぉ!」
「それもそうだ」
「は?」
【神速】のスキルを発動。
大男の懐に潜り込んだ。ぶよぶよの腹に拳を打ち付ける。
「げほっ!?」
さすが『武道』系最高の我が娘。便利なスキルを習得してやがる。
【神速】スキルは瞬く間もなく、一瞬で距離を詰めることができる移動スキルだ。
その勢いのまま腹に一撃を与えてやったんだ。
男は腹を押さえて苦悶の表情を浮かべる。
「形勢逆転だな」
やはりスキルの暴力には勝てないようだ。
『武道』と『魔導』の組み合わせは無限の可能性を秘めている。
負けるはずがない。
「おい! ガキどもを人質に取れ!」
「なっ!」
「きゃあっ! パパァ!」
しまった!? 子供達を人質に!
まさかそんな卑怯な手を使ってくるとは思ってなかった。
くそ……まずいぞ。
マリヴェラの肩を抱いて、落ち着かせる。
「どうしよう! ペリルとポーラにもしものことがあったら!
ペリルとポーラはハーヴァン孤児院で育てている子供だ。
まだ10歳に満たないがしっかり者のため近隣にあるトラッタの街へ買い物に行かせている。
情報は少ないが……手段はある。
「マリヴェラ、【魔眼】を使えるか」
「え?」
「【千里眼】があるだろ。2人が出かけてからそんなに時間は経っていない。誘拐されたとしても射程圏にいるはずだ」
「そうね! ごめんなさい……気付かなかった」
「気にするな、そのために俺がいるんだ。マリヴェラ、意識を集中させよう」
マリヴェラの手を握って気持ちを落ち着かせる。
心優しいマリヴェラは孤児院の子供達に真っ直ぐな愛情を注いでいる。
だからそれに応えてみんなママが大好きなんだよ。
魔眼のスキルの1つ、【千里眼】を発動させる。マリヴェラは目を瞑って意識を集中させた。
「見えた! ……男がペリルとポーラを抱えている」
やはり誘拐か……。
しかし妙だ。2人には孤児院の出身の証である胸章を付けさせているから身代金目的はありえない。
トラッタの街は比較的治安もいいからこんな騒ぎ1度もなかったはずなのに……。
「トラッタの街の郊外にある倉庫街……そこに入っていったわ」
「あそこは今は無人のはずだが……。何であんな所に」
これで2人の居場所が分かった。単独犯とは思えないな。
身代金じゃなかったら身売りか……。
くそ、俺の娘を売らせるわけにはいかない。
「マリヴェラ、トラッタの街の帝国警察に連絡してくれ」
「ロードはどうするの!?」
「助けにいく」
「危険よ! 相手は何人いるか分からないのよ!」
マリヴェラの言いたいことも分かる。
「だけど子供達が傷つけられてるかもしれないと思うと我慢できないんだ。大丈夫、俺には【おん返し】スキルがあるから」
マリヴェラを宥めてさっそく出発した。
街の郊外の倉庫区画なら行ったことがある。
このあたりは草原で見晴らしもよい、連続で【空間転移】すればあっと言う間に到着する。
俺は連続で【空間転移】をして倉庫区画に入る。
一番奥の倉庫、そこに人の気配がする。
1人2人じゃない……。おそらく複数人が騒いでいる。この中に俺の愛娘を拐かしたやつがいるのか。
考える間もなく、倉庫の扉を開いた。
「ペリル、ポーラ! ここかぁ!」
扉を開けたそこは広い空間の物置となっており、木材が多く置かれている。
工作機械に酒瓶や食料が散乱している。奥にはこの街であまりみない格好のゴロツキ達が俺を見ていた。
どこだ。2人はどこにいる。……俺の娘2人は大柄な男達に囲まれて怖がりながら支え合っていた。
その姿を見て頭に血が上る。
「俺の娘に何しやがったあぁぁ!?」
正直ブチ切れていた。
俺は孤児院の娘、息子達に多大なる愛情を注いでいる。
そんな娘達を怖がらせたことが何よりも許せなかった。
「な、なんだてめぇ」
「おぅ、にーちゃん。ノコノコと何しに来た」
一番近くにいたゴロツキどもがのっそりと俺に近づいてくる。
もはや言い訳無用。
頭に血が上っていた俺は問答無用でこいつらをぶん殴った。
スキルとか関係ない。単純な殴打だ。
「んだぁこの野郎!」
別のゴロツキが棍棒を振り下ろしてくるがそれも棍棒ごと拳で吹き飛ばし、ゴロツキの顔面に拳をぶち込む。
ナイフを取り出してきたゴロツキに対しても掌底を腹部にぶち込み吹き飛ばす。
娘達の恩返しのおかげで【攻撃力アップ】【防御力アップ】のスキルが常時発動として常に俺のステータスに補正が行われていた。
俺の能力は成長率はともかく、実ステータスはわりととんでもないことになっている。
天才のステータスが付与されるのだから当然だ。
あと、10歳の時に殺されそうになった一件以来鍛錬だけは欠かさずに行っていたので、基礎体力には元々自信がある。
武器とか魔法の才はないが単純な殴り合いならこっちに分があるんだ
「おかしら、こいつつえーぞ!」
ゴロツキの1人が暗闇の奥に声をかける。
鈍そうな声がして俺はそちらに顔を向けた。
のっそりと足音を立てて近づいてきたのは2アメル(メートル)以上の身長に大柄な体格の男……でかい。
「ほ~お、ガキ達の身内かぁ……よくここが分かったなぁ」
「子供達を返してもらう」
「俺を倒せたらなぁ!」
「っ!」
大男は背負うグレートアックスを思いっきり振り下ろしてきた。
直感的に回避系のスキルを発動、ギリギリ避けることに成功する。
振り下ろされた大斧は地面に大きな穴を作った。
こんなの普通にくらったらひとたまりもないな。
大男はなおも斧を振り回して来る。
思ったより手慣れた動きだ。ただのゴロツキの動きじゃない……。
「逃げてばっかじゃ助けられねぇぞぉ!」
「それもそうだ」
「は?」
【神速】のスキルを発動。
大男の懐に潜り込んだ。ぶよぶよの腹に拳を打ち付ける。
「げほっ!?」
さすが『武道』系最高の我が娘。便利なスキルを習得してやがる。
【神速】スキルは瞬く間もなく、一瞬で距離を詰めることができる移動スキルだ。
その勢いのまま腹に一撃を与えてやったんだ。
男は腹を押さえて苦悶の表情を浮かべる。
「形勢逆転だな」
やはりスキルの暴力には勝てないようだ。
『武道』と『魔導』の組み合わせは無限の可能性を秘めている。
負けるはずがない。
「おい! ガキどもを人質に取れ!」
「なっ!」
「きゃあっ! パパァ!」
しまった!? 子供達を人質に!
まさかそんな卑怯な手を使ってくるとは思ってなかった。
くそ……まずいぞ。