【しつけ】スキルを参考にしっかりと教育計画を立てて5人の子供達を育てあげた。
俺は勇者パーティに所属していた時に七英雄の知識やスキルの使い方を観察して知識として蓄え続けていた。
その結果が追放だったわけだが、俺の頭の中には奴らの全てが入っている。
実現はできなくとも、知識として教育することができる。
今思えばそれも【しつけ】スキルの1つだったのかもしれない。10歳の時は分からなかったが【エンカウント無効】や【威圧】なんてそう簡単に覚えられるものではない。
しつけをするためのスキル習得能力も備わっているたかもしれない。
そのおかげで剣も魔法も政治経済、学術全て一定の知識を持っている。5人の子供に得意分野の基礎を教え込むことができた。
全員天才級のため簡単に抜かれてしまったが……天狗にならないよう道徳教養もしっかり行わせてもらった。
俺が七英雄に追放されて危うく死にそうになった所を話したり、マリヴェラの父が成り上がりのために七英雄に殺されたことも話をしてこんな大人になってはいけないと必死に伝えた。
おかげでみんな涙ながら理解してくれたんだ。
「パパ、ママ、僕達の目的が決まったよ。絶対僕達がパパとママを幸せにするから」
アルヴァンの言葉に他の子供達も頷いてくれる。
これはきっと優しい大人になってくれる。そう思うことにしたんだ。
そしてさらに10年の月日が過ぎた。
俺も30歳になったし、マリヴェラも25歳となる。
俺達にとって初めての子供達が15歳となって卒院していくことになった。
◇◇◇
「みんな元気でな。時々便りをよこせよ」
俺の言葉に子供達は頷いた。
「パパ、私達……4人とも夢を叶えるため頑張りますから。待っててくださいね!」
4人の女の子を代表してフィロメーナが声をかけてくる。
4人の夢……? なんだ……全然分からん。
考え込んでいると隣にいたマリヴェラがみなを注目させた。
「みんな……成人したんだから良い人を見つけるのよ! ママはあなた達の幸せを祈ってるから」
マリヴェラの言葉に皆、ぴたりと止まる。
「ママが先に見つけるべきだと思います」
「ママももう25だよ?」
「ママ、がんばなの!」
「ママも人のことを言えないわね」
この世の結婚適齢期は20歳前後である。
そのため25歳のマリヴェラはすでに行き遅れという扱いになっていた。
当然子供にからかわれたマリヴェラはその美しい黒髪を逆立てる。
「クソガキィィ! 折檻してやるーーーっ!」
わーーっと逃げていく4人の子供達はマリヴェラに追われて散り散りに去って行く。
卒院の日まで騒がしいことだな……。
一人残っていた男の子、アルヴァンはそこにいたままだった。
「パパ、4年待ってて欲しい。僕達の成長した姿を見せてあげるから」
やれやれ……あんなにちっちゃかったのにな……。親として何だか涙ぐんでしまいそうだ。
「ああ、健康に気をつけて達者でな。まぁ、しっかりもののアルヴァンなら大丈夫だろうけど……」
「それじゃあ4年後、成果を報告にしに来るよ。だから……」
アルヴァンは子供達に追いつけず、ぶりぶり怒りながら戻ってくるマリヴェラを見据える。
「もしパパがママを選ばないなら、僕がもらうから」
「ませたこと言いやがって」
そうしてアルヴァンも旅立ち、俺とマリヴェラの最初の子供達は旅立っていた。
「寂しくなるわね……」
「ああ」
そうは言っても今11歳の子供達の子育てに大変な日常を過ごしている。
4年事にどんどん卒院していくのだからいつかは慣れていくのだろう。
「しかし、みんなも言ってたがマリヴェラ。外に結婚相手を探しに行ってもいいんだぞ」
「うぐっ!?」
マリヴェラは本当に美しくなった。
年齢的には行き遅れかもしれないが見た目は若々しいし、容姿は近隣の世帯の中でも1つ抜けている。
実際に嫁に欲しいという声もよくあるのだ。
料理上手で家事が得意、笑顔が素敵なマリヴェラがなぜ嫁に行かないのか不思議でならない。
「そ、そういうロードこそ、全然浮いた話ないじゃない」
「そうだなぁ。俺はモテないからな」
実際、そういう話はあるにはあるが全部断っている。
マリヴェラほど結婚の話があるわけではないんだが……。
俺は結婚する気はない。それが俺の贖罪の1つだと思っている。
「まさか10年経っても口説いてくれないなんて思わなかった。でも今更私から行くなんて恥ずかしくて無理だし、うーん何であんなツンツンしてたんだろ」
「何か言ったか?」
「何もないわよ! バカ!」
マリヴェラも25歳になってかなりツンツンしたトゲも和らいだがたまにこうやって見せる所が可愛らしい。
俺は多分マリヴェラを家族として、言い換えるなら妹のように思っているのだろう。
結婚することが幸せとは言わないがこの世界の常識で捉えるなら伴侶を見つけて幸せになって欲しいものだ。
◇◇◇
しかし……そんな俺に転機が訪れる。
――【剣王】を習得しました――
――【二連詠唱】を習得しました――
――【交渉術レベル1】を習得しました――
――【医学レベル1】を習得しました――
――【舞】を習得しました――
「だぁー、うるせぇ! なんなんだ、毎日毎日!」
「どうしたのロード」
マリヴェラに打ち明けてみる。
「あいつらが卒院してから毎日頭に鳴り響くんだよ……。なんなんだこれ」
「うーーん、あっ」
「どうした?」
「ロード、あなた【おん返し】のユニークスキルを習得しているわ」
俺は勇者パーティに所属していた時に七英雄の知識やスキルの使い方を観察して知識として蓄え続けていた。
その結果が追放だったわけだが、俺の頭の中には奴らの全てが入っている。
実現はできなくとも、知識として教育することができる。
今思えばそれも【しつけ】スキルの1つだったのかもしれない。10歳の時は分からなかったが【エンカウント無効】や【威圧】なんてそう簡単に覚えられるものではない。
しつけをするためのスキル習得能力も備わっているたかもしれない。
そのおかげで剣も魔法も政治経済、学術全て一定の知識を持っている。5人の子供に得意分野の基礎を教え込むことができた。
全員天才級のため簡単に抜かれてしまったが……天狗にならないよう道徳教養もしっかり行わせてもらった。
俺が七英雄に追放されて危うく死にそうになった所を話したり、マリヴェラの父が成り上がりのために七英雄に殺されたことも話をしてこんな大人になってはいけないと必死に伝えた。
おかげでみんな涙ながら理解してくれたんだ。
「パパ、ママ、僕達の目的が決まったよ。絶対僕達がパパとママを幸せにするから」
アルヴァンの言葉に他の子供達も頷いてくれる。
これはきっと優しい大人になってくれる。そう思うことにしたんだ。
そしてさらに10年の月日が過ぎた。
俺も30歳になったし、マリヴェラも25歳となる。
俺達にとって初めての子供達が15歳となって卒院していくことになった。
◇◇◇
「みんな元気でな。時々便りをよこせよ」
俺の言葉に子供達は頷いた。
「パパ、私達……4人とも夢を叶えるため頑張りますから。待っててくださいね!」
4人の女の子を代表してフィロメーナが声をかけてくる。
4人の夢……? なんだ……全然分からん。
考え込んでいると隣にいたマリヴェラがみなを注目させた。
「みんな……成人したんだから良い人を見つけるのよ! ママはあなた達の幸せを祈ってるから」
マリヴェラの言葉に皆、ぴたりと止まる。
「ママが先に見つけるべきだと思います」
「ママももう25だよ?」
「ママ、がんばなの!」
「ママも人のことを言えないわね」
この世の結婚適齢期は20歳前後である。
そのため25歳のマリヴェラはすでに行き遅れという扱いになっていた。
当然子供にからかわれたマリヴェラはその美しい黒髪を逆立てる。
「クソガキィィ! 折檻してやるーーーっ!」
わーーっと逃げていく4人の子供達はマリヴェラに追われて散り散りに去って行く。
卒院の日まで騒がしいことだな……。
一人残っていた男の子、アルヴァンはそこにいたままだった。
「パパ、4年待ってて欲しい。僕達の成長した姿を見せてあげるから」
やれやれ……あんなにちっちゃかったのにな……。親として何だか涙ぐんでしまいそうだ。
「ああ、健康に気をつけて達者でな。まぁ、しっかりもののアルヴァンなら大丈夫だろうけど……」
「それじゃあ4年後、成果を報告にしに来るよ。だから……」
アルヴァンは子供達に追いつけず、ぶりぶり怒りながら戻ってくるマリヴェラを見据える。
「もしパパがママを選ばないなら、僕がもらうから」
「ませたこと言いやがって」
そうしてアルヴァンも旅立ち、俺とマリヴェラの最初の子供達は旅立っていた。
「寂しくなるわね……」
「ああ」
そうは言っても今11歳の子供達の子育てに大変な日常を過ごしている。
4年事にどんどん卒院していくのだからいつかは慣れていくのだろう。
「しかし、みんなも言ってたがマリヴェラ。外に結婚相手を探しに行ってもいいんだぞ」
「うぐっ!?」
マリヴェラは本当に美しくなった。
年齢的には行き遅れかもしれないが見た目は若々しいし、容姿は近隣の世帯の中でも1つ抜けている。
実際に嫁に欲しいという声もよくあるのだ。
料理上手で家事が得意、笑顔が素敵なマリヴェラがなぜ嫁に行かないのか不思議でならない。
「そ、そういうロードこそ、全然浮いた話ないじゃない」
「そうだなぁ。俺はモテないからな」
実際、そういう話はあるにはあるが全部断っている。
マリヴェラほど結婚の話があるわけではないんだが……。
俺は結婚する気はない。それが俺の贖罪の1つだと思っている。
「まさか10年経っても口説いてくれないなんて思わなかった。でも今更私から行くなんて恥ずかしくて無理だし、うーん何であんなツンツンしてたんだろ」
「何か言ったか?」
「何もないわよ! バカ!」
マリヴェラも25歳になってかなりツンツンしたトゲも和らいだがたまにこうやって見せる所が可愛らしい。
俺は多分マリヴェラを家族として、言い換えるなら妹のように思っているのだろう。
結婚することが幸せとは言わないがこの世界の常識で捉えるなら伴侶を見つけて幸せになって欲しいものだ。
◇◇◇
しかし……そんな俺に転機が訪れる。
――【剣王】を習得しました――
――【二連詠唱】を習得しました――
――【交渉術レベル1】を習得しました――
――【医学レベル1】を習得しました――
――【舞】を習得しました――
「だぁー、うるせぇ! なんなんだ、毎日毎日!」
「どうしたのロード」
マリヴェラに打ち明けてみる。
「あいつらが卒院してから毎日頭に鳴り響くんだよ……。なんなんだこれ」
「うーーん、あっ」
「どうした?」
「ロード、あなた【おん返し】のユニークスキルを習得しているわ」