『音楽に恋して』 ~人生を豊かにする歌と演奏~

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『音楽に恋して』 


第6回:『AT THE MOVIES:DAVE KOZ』(EMIミュージックジャパン:TOCP-70307)


今回は、懐かしい、しかし、まったく色褪せていない映画音楽をお届けします。
演奏しているのは、アメリカでも日本でも大人気のサックス奏者『デイヴ・コーズ』です。

彼は、1963年3月27日にアメリカのカリフォルニア州ロサンゼルスで生まれました。
サックスを吹き始めたのは13歳の頃。
兄から「サックスが吹けるようになったらバンドに入れてやるよ」と声をかけられ、猛練習を始めたそうです。
そして、2年後、夢を実現させます。

その後もバンド活動を続け、大学卒業後にプロとして活動を始めます。
1990年にソロ・デビューすると、瞬く間に頭角を現し、セカンドアルバムでは早くもゴールド・ディスクを獲得します。
そして、トップへと昇り詰めていくのです。

映画音楽を録音したのには、大きな理由がありました。
母親の望みを叶えるためです。
「あなたのサックスで、思い出の映画音楽を聴きたいわ」
そう言われていたのです。

しかし、それは、簡単なことではありませんでした。
オーケストラと共演するためには、演奏者としての円熟味が要求されるからです。
技術面に加えて、精神的な成長も必要です。
人気があるからといって、すぐに録音できるわけではないのです。

やっと実現したのは、2007年でした。
デビューしてから17年が経っていました。
しかし、その時、母親は重い病に()していました。
せっかく録音したのに、聴いてもらえるかどうかわからない状態だったのです。
それでも、彼の祈りは通じました。
間に合ったのです。
約束を果たせたのです。
母親は優しいサックスの音色を聴きながら、懐かしの映画を思い出しながら、静かに旅立ったそうです。


🎷 🎷 🎷 🎷 🎷 🎷 🎷 🎷 🎷 🎷

それでは、曲順をご紹介します。

1:『オーヴァ―・ザ・レインボウ』(オズの魔法使い)
2:『ムーン・リヴァー』(ティファニーで朝食を)
3:『時の過ぎゆくままに』(カサブランカ)
4:『恋は永遠に』(ウエストサイド物語)
5:『いそしぎ』(いそしぎ)
6:『ピンク・パンサー』(ピンク・パンサー)
7:『追憶』(追憶)
8:『おもいでの夏』(おもいでの夏)
9:『君に想いを』(トッツィー)
10:『ニュー・シネマ・パラダイス』(ニュー・シネマ・パラダイス)
11:『ホール・ニュー・ワールド』(アラジン)
12:『シンドラーのリスト』(シンドラーのリスト)
〈ボーナス・トラック〉
13:君に想いを(インストゥルメンタル・ヴァージョン)
14:いそしぎ(インストゥルメンタル・ヴァージョン)


『オズの魔法使い』の主演女優、ジュディ・ガーランドの懐かしい歌声で幕が開きます。映画公開当時(1939年)の歌声だと思います。
そして、ストリングスの調べのあと、ムーディーなサックスの音色が聞こえてきます。
ドロシーが歌う場面が浮かんだ人も多いのではないでしょうか。
懐かしいですね。

と、浸っている間に、次の曲が始まりました。
『ムーン・リヴァー』です。
素敵な歌声は、バリー・マニロウのハスキーヴォイスです。
オードリー・ヘップバーンが社交界を自在に泳いでいく演技が思い出されます。

聴き惚れていると、男女の話し声が耳に届きました。
ハンフリー・ボガードとイングリッド・バーグマンだと思います。
「as time goes by」と囁くバーグマンの声が素敵です。
1940年のモロッコにタイムスリップしそうです。

そして、ウエストサイドストーリーの『SOMEWHERE』を挟んで、これも名曲、『THE SHADOW OF YOUR SMILE』が始まります。
歌も素敵ですが、デイヴ・コーズの思い入れたっぷりのサックスと、ジャズ界No.1のトランぺッター、クリス・ボッティのミュートした音色がたまりません。
ムードたっぷりの演奏です。

フィンガー・スナップに導かれて始まるコミカルなピンク・パンサーの主題歌に続いて聞こえてくるのは、これも名曲『追憶〈THE WAY WE WERE〉』です。
女性のスキャットがバーブラ・ストライザンドの歌声と表情を呼び戻してきます。
でも、ここで歌っているのは、ヴァネッサ・ウイリアムスです。
黒人女性として初めてミス・アメリカに輝いた美しい人がしっとりと歌い上げ、バーブラとは違った味わいを与えてくれます。

余韻に浸っていると、『おもいでの夏』が始まりました。
抑え気味のサックスの音色にピアノが絡んで、更に、ストリングスが盛り上げていく、素晴らしい演奏です。


しっとりとしたバラードが始まりました。
『トッツィー』の主題歌です。
ダスティン・ホフマンが女優に扮するコメディ映画ですが、インディア・アリーの優しい歌声に惹きこまれます。

物哀しくも優しいサックスの音色が聞こえてきました。
『ニュー・シネマ・パラダイス』の主題歌です。
場所はシチリア。
映写技師と映画好きな少年が交流する物語ですが、二人の微笑ましい姿が目に浮かんできます。

目をつむって聴いていると、演奏が終わった途端、煙が見えてきました。
魔法のランプから出ているようです。
貧しい青年が魔法のランプの力を借りて王子に変身し、王女と恋に落ちますが……、
『アラジン』の主題歌を、ディスコミュージックの女王、ドナ・サマーがしっとりと歌い上げ、新たな世界へ(いざな)う勇気と希望を運んできます。

そして、最後は『シンドラーのリスト』の主題歌です。
監督はスピルバーグで、アカデミー最優秀作品賞と監督賞を受賞した映画です。
物哀しいサックスの音色が第二次世界大戦のヨーロッパに連れて行きます。
ナチスからユダヤ人を救ったドイツの実業家の物語ですが、この曲を聴くたびに、戦争の悲惨さを感じます。
ウクライナや中東に平和な日が来ることを祈り続けたいと思います。

最後はちょっと暗くなってしまいましたが、でも、これで終わったわけではありません。
ボーナストラックとして素敵な曲が2曲続くのです。
『君に想いを』と『いそしぎ』の歌なし演奏版です。
眠る前に聴くと、穏やかな気持ちになって素敵な夢を見られるかもしれません。
ということで、
おやすみなさい。


🎥 🎬 🎥 🎬 🎥 🎬 🎥 🎬 🎥 🎬

名画で巡る音楽の旅、いかがでしたでしょうか。
ほんの少しでもほっこりとしていただけたら幸いです。
では、また次回お目にかかります。

♪ ♬ ♪ ♬ ♪ ♬ ♪ ♬ ♪ ♬ ♪ ♬ 

ところで、エッセイをあと二つ公開中です。
『ヨーロッパに恋して』と『本に恋して』です。
こちらも是非お楽しみください。

♪ ♬ ♪ ♬ ♪ ♬ ♪ ♬ ♪ ♬ ♪ ♬ 

これからも極上の歌と演奏をご紹介してまいります。
楽しみにお待ちください。

GOOD MUSIC GOOD LIFE!
あなたの今日と明日が素敵な一日でありますように。

✧ 光り輝く未来 ✧

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