『何、読んでるの？』
今やっと自分の脳内にたどり着いた彼女からの質問。
「この本は小説で……」
あっ……。
開いて持っている本をしっかり見た瞬間、ミスに気づいた僕だが、遅かった…。
「片十くんは、いつから本を逆さにして読むようになったのかな？」
「なってません……。
僕、読んでませんでした……」
偶然を装おうとして、いつものように本を読んでた事にしようとしたら、失敗しました……。
「友結稀から、聞いたの？」
束勢友結稀さんは僕の同級生で、彼女の友達だ。
「マネージャーさんが捜してるって……。
何かあったの？ 反桐さん……」
