居ないか……。

そんなに期待していたわけじゃないが、この場所は彼女と僕がよく居た場所だったから。

いつもみたいに本でも読むか……。

その場で腰を下ろした僕は、肩にかけていた白いトートバッグの中を探り、取り出した…。

彼女が大好きでよく飲んでいたペットボトルの天然水。

会えたら渡そうと思ってたけど…渡せなかったな……。

自分で飲むか…。

ペットボトルを近くに置いた後……遠くの方に女性が見えた………。



「何、読んでるの?」



約1年ぶりにしゃがんで現れた彼女は、あの頃よりももっと綺麗で、綺麗すぎて……。

少しの間だけど、僕は言葉を忘れてしまったんだ………。