小さい頃はよく、一緒に寝ていた。
暗いのが苦手っていうのもあるけど、兄さまが離れていっちゃうんじゃないかって、それが怖かったんだ。
 兄さまはよく放浪を繰り返していた。私が迷子になれば「オレの側から離れるな」って言うのに、兄さまは何処か行ってしまう。
兄さまは家が嫌いと言うけれど、私が思うにきっと大好きなんだと思う。
確かな確証がある訳ではないけれど、何故だかそう思った。
当主になるのも、本当は嫌ではないと言っていたから。
私では似合わない。

 ねぇ、兄さま。
双子でも先に生まれた方と後に生まれた方は、上と下を逆に考えていた時代もあったんだって。だから上が私かもしれないし、私の方が霊力が強かったのかもしれない。それならそれで良かったんだよ。私が当主でも、兄さまが当主でも。
 兄さまはよく私に言っていたよね、「お前は、お前の好きに生きれば良い」って、、、。

 兄さまの背負った色んなものを打ち消す薬に私はなれないけど、私は兄さまの側にいるから兄さまも私の側にいてね。
 誓いと願いを最後に浮かべて、ゆるゆると視界はぼんやりしだす。
 願わくば私と兄さまに、少しでも多く同じ朝を、この日を尊べる夜を。
独り言みたいな兄さまの声が聞こえた気がしたけど、何を言っているのか分からなかった。
だってとうにそれは夢の中で、、、。