私と(あに)さまが生まれた夏谷家は代々、『憑き物落とし』の家系なんだって。
霊感がある子供が生まれて、霊視とか占いが得意で、超能力を持ってて、その超能力を使って憑き物を祓って、、、。そういう界隈では名の知れた一族なんだって、おじいちゃんやお母さんが言っていた。
「夏谷家は、、、人を助けるのが、、、お仕事」
 おじいちゃんやお母さんが言っていた通り、私と兄さまには超能力があった。
私は液体を操ることが出来て、兄さまは液体を氷に出来る。
幽霊や妖怪が見えたし、時にはお話も出来た。
それでも私は弱くて、何時も兄さまの後ろに隠れていて、、、兄さまは強かった。何時も私を守ってくれて、とても素敵で、私だけのヒーローで、、、。
「、、、」
考えていることがあっちこっちに飛んで行って、戻れなくなっちゃいそうで、、、本当に限界だった。
 十歳になっても幽霊を怖がっている私をお母さんは五日、座敷牢に閉じ込めた。この五日間、ご飯も水も喉を通っていない。お腹が空いた、喉が乾いた。力尽きて体を起こすことが出来なくて、冷たい床をカリカリと引っ掻く。
暗い座敷牢に光が差し込む唯一の窓は鉄格子付いている。
 此処に閉じ込められた時は怖くてパニックになって、兄さま助けてって泣きじゃくったけど、、、兄さまは外側からかけられている鍵を開けられない。だって、、、兄さまはもう死んじゃったから。
でも、兄さまは私の中にいる。私の中に魂だけが入っている状態なんだって、お母さんが言っていた。
『、、、真央!真央!』
 あぁ、、、神様の声がする。とうとう私、死んじゃうのかな?
『意識を持て!気絶するぞ!』
兄さま、気絶したら怒られちゃうのかな?私、まだ怖いよ、、、。