彼女が読んだ場所は、学校近くの公園だ。

少し暗い時間のこともあり誰もいない。

歩いているとベンチに座っている彼女がいた。

「よっ!」俺は明るく話かける。「何よっ!て笑笑」

その後、ベンチに座り、彼女が話し出した。

「昨日は驚かせてごめん。色々びっくりしたよね。」

なんと反応したら良いのかもう分からなくなっている。

「1歳の頃から、心筋症で。散々病院の入退院を繰り返してね。普通の子とは、違った環境で育ったの。それで今の歳になって、病気がどんどん進行して、。心臓移植をしないと生きられない状態。でも、心臓が届くには時間がかかる。だから、もう私は良いんだ。自由に生きたい。」

俺は、なんと返したら良いかわからない。
そのまま黙って話を聞いた。

「私ね、今世生きれたならスタイリストになりたかったなー。それでみんなを笑顔にするの。やっぱ私ってセンスの塊だからさ。」

頑張って笑っているが気持ちは正直だ。
彼女の目から雫が落ちる。

「あー、、死にたくないな。」

「死にたくないなら生きれば、、」

「生きるなら、相当大変な治療が必要。年月も。その間に死んだら、後悔する。思い出作って楽しめばよかったって。」

何も言うことが出来ない。彼女と同じ物を味わってない俺は意見を言えない。そんな気がするぐらいの覚悟だろうと思ったからだ。

俺はゆっくり彼女を抱きしめた。最近会ったばかりの彼女に何をしているのかと普通だったら不思議に思うだろう。でもその時は、勝手に体が動いたのだ。

「頑張ったね。君は凄いよ。」

彼女は俺を強く抱き締めて子供のように激しく泣いた。今まで1人で抱えてきたものが出たのだろう。

俺が彼女に相談した時のように、彼女の心も軽くなって欲しい。そう思った。

そして俺は提案をした。

「最高の思い出作ろう。半年。」

彼女は涙目をこすりながらこちらを見た。
そしてじわじわと笑いだした。

「それ私が言った言葉じゃん笑笑」

それから夏の約束を立てた。彼女の自由さでもう予定表はぎちぎちだ。でも、心で踊っている自分がいた。

その夜は満月がきらめく綺麗な夜だった。