「ねー、涼太くん。じゃーんシロツメクサの冠だよー!」「ふうちゃん可愛いね。見てーこれ!シロツメクサの指輪!大きくなったら、僕と結婚してね。」

ピピピ ピピピ ピピピ 朝から目覚まし音が鳴り響く。

どうやらさっきのは夢だったらしい。
さっきの女の子は、たぶん俺の幼なじみふうちゃんだ。

確か本名も、風と書いてふうだった気がする。懐かしい夢を見て昔の自分を思い出す。俺の初恋相手。

俺がいじめられてた時、手をさしのべてくれた彼女。同等になりたくて頑張ったが叶わなかった。

彼女は、今何をしているだろう。
でもなんで今この夢が、?

まぁそれはいい。とりあえず支度をしよう。珍しく今日は予定がある。そう今日は風鈴との思い出作りの日だ。

ベットから起き上がり顔を洗い寝癖を整える。置き手紙と朝食が冷蔵庫にある。母はもう仕事に行っているようだ。

「涼太へ おはよう!朝ごはん食べてね! 母より」
仕事ばかりなのにこんなに俺に尽してくれる母には感謝しかない。

ご飯をよそぎ味噌汁とだし巻き玉子を温め、サッと朝食を済ませる。あとは適当に服を選ぶだけだ。

クローゼットから楽なジャージを取り出し着る。靴はスニーカーでいっか。鍵をして山江駅に自転車で向かう。5分前に着いたがもう彼女の姿はあった。

「ごめん、遅れて、」

機嫌を伺いながら話し出す。

「おはよーう!!まだ5分前だよ!早かったね!」
一安心したすきに彼女が話し出す。

「てかその前に何その服!!ジャージはないでしょう。」
えっ?と思い、自分の服を見返す。

確かに彼女はとてもセンスのいいおしゃれな服を
着ている。

「どうせ俺のこと誰も見てないって、」そうどうせ俺が何を着ていようが大丈夫なんだ。誰も見ていないから。

「はーいダメそのネガ思考!今日の予定変更!題して涼太イメチェン企画!」「おい、誰も許可してないし、しても意味が無いって」

ほんとに彼女は自由人だと改めて思い返される。

「意味あるよ。だって隣に並ぶんだから、イケメンに並んでもらったら私も嬉しいじゃん!涼太、元いいんだからもったいないよー!」

俺はまた、ため息をついた。
俺の手を引っ張り、駅のホームに向かいながら彼女は
言った。「レッツゴー!!」