そんな楽しい日はどんどん過ぎ去っていき、
いよいよ半年が終わる。
私は、涼太が消える姿を見るのは嫌だと、伝えたが、
涼太は、私と一緒に最後までいたいと言ってくれた。
だから今日。
最後の日を、一緒に過ごすことにしたのだ。

「じゃあ花火しようか。」「うん。」

シャワー パチパチパチパチ

花火の音色が響き渡る。私の大好きなこの音が。

「ねー、花火ってやっぱり私みたい?」

「なんだよ急に、自意識過剰になってしまったのか」

「そんなんじゃないしー、」

私は拗ねて、そっぽを向く。

「うん。やっぱ花火という名前が似合うぐらいには、
花火っぽいと思うよ。」

「えっ、ほんと?」

「うん。」

花火みたいか。私は、自分でもそう思う。
でも私一人では存在できない花火みたいな私。
涼太がいて、私は花火らしくなれる。
まるで花火に光を与える、炎のように、。

「ねー、来世はやっぱり涼平?」

「うわー、俺もう使ってしまったな笑
まあでもそれが覚えやすいよな、。」

「私はやっぱり、花火にしようかな。」

「見つけやすいな笑笑」

目印になるように。君に見つけて貰えるように。
そんな意味を込めた名前。とても気に入っている。

「ねー、私と過ごせて後悔ない?」

「うん。ないよ。」

「私と会えてよかった。」

「よかったよ。」

時刻がどんどん過ぎていく。

夜の11時55分。
彼と一緒に居れるのもあと5分。

「ねぇ、私に希望をくれてありがとう。」

「俺こそだよ。」

気のせいか、涼太の体が薄くなっていってることが
分かる。私は、目に力を入れて涙をこらえる。

でもそんなことは、私にはできない。
涙が自然とこぼれ落ちる。

すると、涼太が薄くなった体で私を抱きしめた。
いつもの温もりは、感じれない。
しだいに手の感触もなくなっていく。

「ねぇ、大好きだよ。世界で1番、、誰よりも、」

「知ってる。そして俺も、大好き、」

涼太の顔が完全に消えていく。涙で目がいっぱいでも
その様子は、目にはっきりと伝わる。

「涼太。ありがとう。」

1人で呟いても、返事はかえってこない。
そんな、前の日常が戻ってきただけなのに。
今では、涼太がいたことが当たり前になっていた
日々がある。余計辛い。泣いても、名前を呼んでも、
帰ってくることはもう二度とない。
そんな現実に向き合いたくない。
私は1人で泣きながら、家に帰った。