再び公園のベンチに戻り、コーヒーを片手に話を聞く。

「あのさ。俺の事わかる?」

「うん、?分かるよ涼平でしょ。」

「違うそういう意味じゃなくて、、」

そういう意味じゃない、。ならば、どういう意味、
1つ頭に浮かぶが、期待していいのか。

私は、恐る恐る聞いてみることにした。

「涼太、?」

彼は苦笑いをうかべ、こちらを見る。

「うん、。そうだよ。」

衝撃の嬉しさと、感動で自然と目から涙がこぼれ落ちる。ずっと会いたかった君に、会えたことが。

「えっ嘘でしょ、なんで言ってくれなかったの!!」

「ごめん、まずは俺がなんでここにいるか聞いて欲しい。」

「うん。」何か嫌な予感がした。聞きたくない。
そんな気持ちだ。

「まず、俺は事故でなくなった。」

「うん。」亡くなったが今彼はここにいる。それはなぜ、

「何故か俺も分からないが、未来に行けることになったんだ。半年間。」

半年間。えっ、。嘘でしょ。信じたくないよ。
頭の中が、ごちゃごちゃと混乱する。

「半年間だけ、?」

「うん、。」彼はこちらを向いて小さくつぶやく。

「その後、涼太はどうなっちゃうの?」

「消えちゃうんだ。」

やだよ。なんでよ。再会できたのにこうして。
私は、ここで勇気をふりしぼりはことにした。

「好きなの。涼太のことが。ずっーーと昔から。」

彼は涙目でこちらを向く。

「俺は、その気持ちには答えられない。」

私の心がガクガクと崩れていく。

「涼太は、私の事好きじゃないの?、」

「好きだよ、。」すぐにそう帰ってきた。

「じゃあなんで、?」

「俺は、もう未来がない。風鈴にはある。
縛り付けたくないんだ。」

涼太なりの優しさだろうが私はその言葉に怒りが
湧いてきた。

「それは、、本気で好きじゃないんだよ。私だったら。他の人と恋してなんて言えない。私だったら、他の人に渡したくないもん。」

自分でも、どこに怒りをぶつけているのか分からない。
でも自分が、酷いことを言ってしまったのはわかった。

「もう帰るね、。ごめん。」もう涼太の顔は見れない。

「おい!風鈴。」

私は、その大好きな声に振り返らず、家に帰った。

涼太の話を聞いてから、私はずっと家に引こもるようになった。涼太がいなくなることが怖くて。これ以上、
好きになってしまうのが怖くて。失うのが怖くて、。
でも、1日、1日は、2倍速のような速さで進んでいく。半年間を無駄にしてるような。そんな怖さもある。

「ちょっとー風鈴。涼太くんが来てるわよ。」

朝から大きな母の声が響き渡る。涼太には、もう合わせる顔がない。

「入れないで。無理だから。」

そういうと、沈黙が続き、良かったという安堵に
包まれたかと思いきや、

「おじゃましまーす。」

「!?」

なぜか彼が家に入ってきたのだ。びっくりしすぎで、
現実か疑う。

「あーごめんね。もうせっかく来てくれたのに。風鈴
寝起きで。これ良かったら飲んで!」

「ありがとうございます。いただきます。」

目の前で、私を置き去りに話が進む。
そうだ昔から、母と涼太は仲がいいのだった。

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そうあの日が頭の中で思い出される。

「今日は、学校行きたくない、。」

「なんでどうしたのよ。風鈴。」

「りょうくんと喧嘩した。」

「もう、そんなことで。」

やったー行かないで良くなったと思った矢先、

「おじゃまします。」

えっ、どうゆうこと。

「あーりょうくん。いらっしゃい。ほらジュースと
お菓子よかったら。」

「ありがとうございます。」

「ねーそれより!なんでここにりょうくんがいんの!!」

「えっだって俺たち、親友だろ!」

喧嘩しても、その言葉を聞いたら仲直り出来ていた。
だって、私はその頃から、今とは違う意味の好きという感情は持っていたから。

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「おーい!風鈴。お菓子、全部食べるぞ」

「ダメだよ!てかなんでここにいんの。」

「だって俺たち唯一無二の存在だろ。お前がさ、引きこもってるっておばさんから電話来たんだよ。」

もう!お母さん言わないでよ。心の中でそう叫ぶ。
でもさっきの涼太の言葉が心に残る。
唯一無二。確かに私たちはそうかもしれない。
付き合えなくたって、私たちは何も変わらない。

「涼太。ありがとう。」

「なんだよ。急に。」
こちらを向いて笑った顔。この顔も、何万回と見てきたが今でも大好き。そう叫びたい。

「ねーこれ俺たちのアルバム?」

「そうだよ!見てみてよ!」

正直、涼太の記憶がどこまであるのか。
それは分からない。これで確かめて欲しい。
そう思ったのだ。

「あー懐かしいなショッピングモール。ここで俺の服
選んでくれたよな。あとさこの花火とか。
海にも行ったしな。」

全部全部覚えている。涼太はあの頃のまま生きている。

「ねー、記憶全部あるんだね」

「確かにそうだな。あるな。」

「、、、」大粒の1滴がどんどん落ちてくる。

「おい、泣くなよ。泣き虫風鈴。」

嬉しくて嬉しくて、。私だけじゃなくて涼太も覚えてくれている。ただそれだけが。

「もう泣き虫じゃないもん」

その言葉を、泣きながら吐き捨てた。