夏の日差しが照り続く朝方。私は、山江駅で彼を待つ。

「おはよう!」振り向くとそこには。涼平がいた。

「おはよう!」元気にそう返した。

電車に2人で乗り、出かける。
今日は、私の提案で水族館に行くことになった。

楽しみだなー。そんなことを考えていると、
電車が強く揺れた。

「うわっ、」「おっ。大丈夫か?」

胸がドキッと高鳴る。ダメだと思っても気持ちは
素直だ。

「ありがとう、。」「全然。」

照れた顔を隠しながらお礼する。
絶対にバレないように。

水族館に着き、入ってみるとそこにはたくさんの家族連れやカップルがいた。

「うわー人混みだな。」「まあ楽しもうよ!」「だな!」

なんだかんだ、涼平も楽しんでくれそうだ。

チケットを買い、入場する。
最初は、生き物触り体験コーナーに行くことにした。

「うわぁー見てなまこだよ。あとこれひとで笑笑」

「すごいな笑笑」

「涼平も触ってみてよ。」「絶対に嫌だ。」

「まさか怖いの?」「違うわ。」

そう涼平は返すが、声は裏返っており、
焦っているようだ。

「それっ笑笑」

私は無理やり、涼平の手を水槽に入れた。

「おいやめろよ笑笑」彼は、笑いながらこちらを見る。

涼太、、。思い出がフラッシュバックしてしまう。

「おーい風鈴?次行かないか?」

どうやら私はボッーとしてしまっていたようだ。

「あっごめん!行こう行こう」

次はイルカショーに行ってみることにした。

「どうする?前に行く?」「もちろん!」

私と涼平は、レインコートを着て、イルカショーを見ることにした。

始まると、イルカが技を決めていく。
するとジャンプに突然入った。

私たちの前でイルカがジャンプをする。

「うわっ、ー」

隠れてみると全く水がかかってないことに気づく。
あれ?おかしいなと思い顔を上げると、涼平が
びしょびしょになっていた。

「えっ!?大丈夫?」

「いや危ねー。風鈴こそ大丈夫か?」

「いや全然だよ。ありがとう。とりあえず風邪ひくからタオルで拭こう。」

私たちは途中でショーから外に出ることにした。

涼平は、体をタオルで吹き、呑気にお腹がすいたと言い出したのでレストランに行くことにした。

水族館の中のレストランなこともあって、とても人で
賑わっている。

「うわぁーなんにしよう。」

「俺は絶対、さば味噌定食」

えっ、。涼太?前を見るとそこには、涼平がいた。
最近ずっと勘違いしてしまう自分がいる。

「古すぎだよ笑笑 私はハンバーグ!」

「おこちゃまだな笑笑」「なんだって!笑笑」

メニューを決め終えたため、定員さんを呼び注文する
ことにした。そこも、涼平がスラスラとリードしてくれた。そこだけは涼太と違う1面。

「うわー、うまそ」

「おいしそうだね!!」

「じゃあせーので」

いただきまーす!

「えっうま!やっぱりこれ!」

「いやハンバーグでしょ!」

その後はどちらがいいかで軽く論争をした。
楽しい。私は素直にそう思ってしまった。

「うわー綺麗、、」「凄いな」

最後に私たちは、大水槽を見に来た。
魚たちが自由に自分らしく動いている。

「この魚たちにも、辛い過去があるのかな」

私は独り言のように呟いた。

「きっとあるよ。」

涼平は、静かにそう呟いた。

帰り道。別に話すこともなく、だまっているが何故か
居心地がいい。そう感じてしまうのは、私だけかな。

ボッーと夜道を2人で歩いていたその時。

バン バン バン

「えっ!?」「花火だ、。」

突然の出来事に言葉がでない。
夜空には、彼岸花のような花火が咲いている。

「風鈴は、知ってたのか?このこと」

「いや、知らなかった。」
このセリフどこかで聞いたことがある。

あっあの日か。涼太と行った海の帰り道。

私たちは静かに、夜空に咲く花火たちを眺めた。

「綺麗だったな、」「あーそうだな。」

涼平は、また悲しげな顔をしていた。なんでだろう。
探りたいけど、探れない。そんな気持ちになる。

2人で隣同士で歩く。心臓が鳴る。
聞きたいよ。あなたは、涼太ですか?って。
君のとなりにずっといたい。
そう、彼女持ちに感じてしまった私は、負けだ。
降参だ。

山江駅に着き、解散し1人で夜道を歩く。
そんな時だった。服の裾を引っ張られたのだ。

「また、思い出保存してくれませんか?」

「うん、思い出保存?」

「うん。上書きじゃなくで保存。僕は、思い出を捨てたくはないんだ。」

確かに、上書きしようとしても私には無駄だった。
思い出の上に思い出を保存する。

「もちろん。」

それから、私たちの思い出保存が始まった。