私はその後、服飾学校を卒業し、スタイリストをしている。涼太が亡き人になって、もちろん気持ちは前を向けなかったが、今は仕事にやりがいを持ち楽しんでいる。

今日は、久々に地元に帰る。
「うわーこの感じ懐かしい、。」

涼太と過ごしたあの夏を思い出す。
「あれ、。おかしいな、なんで私泣いてるんだろう。」

涙が止まらない。泣きたくて泣いてるわけ
じゃないのに。

「大丈夫ですか?」

急な声掛けに、後ろを振り向くと、
見知らぬ男の子が立っていた。

「どうしたんですか?僕でよければ話聞きますよ。」
普通は、そこで大丈夫ですと断るだろう。
けど、私は何故か断れなかった。

「僕の名前は、八木田 優太です。」
「あなたの名前は?」

一瞬、優太が涼太に聞こえてしまう。
私が沢山呼んだあの名前。

「私の名前は、清水 風鈴です。」

「風鈴さん。どうされたんですか?」

「あの、私好きだった人を亡くしてるんです。」

「はぁ、。」

「本当に大好きで、今までで。でも、次の恋に行こうと思って付き合ったんですよ。今の彼氏と。だけど、やっぱり地元に戻ってきたら、思い出しちゃって。その人と過した夏の思い出とか。」

「うーん、じゃあ他人の僕と消しちゃいませんか?
その思い出。」

普通はこんな変な提案引き受けないだろう。
でも考える間もなく返事をしていた。

「お願いします。」