深夜の12時。俺は、風鈴との約束を破ってしまう。

机の引き出しから、封筒を取り出す。

丸文字で涼太へと書いてある手紙。風鈴がくれた、多分彼女からの遺書になる予定だったものだ。

俺は、それを今読むことにした。
彼女の死に向き合うために。

「涼太へ
まずはこの手紙を読んでくれてありがとう。実は、この手紙、図書館で書いたのとは違うの。おばさんに協力してもらって入れ替えたんだ。幼なじみふうちゃんとしての気持ちも書くためにね。まぁ、遺書として渡したけど、涼太のことだから私が死ぬ前に読んじゃうだろうな。幼なじみなめないでください。だいたい分かります笑 涼太。思い出を一緒に作ってくれてありがとう。沢山振り回してごめんね。少しは、反省してます笑 そして、私の夢を応援してくれてありがとう。初めて応援してもらえたから。私にはなんにもないし。どうせ無理な夢だからって。みんなまずは病気を治そうって。それもありがたいし、真っ当な事だとは分かってる。でも、。でも私が欲しかったのは涼太みたいな言葉でした。叶わない夢でも。応援してくれて私に希望をくれてありがとう。涼太の夢は今世で叶えてください。シェフ絶対なってね。天国まで美味しい料理届けてね。味見のプロだから、涼太を1人前に鍛え上げるね笑
そして、りょうくんへ
気づくの遅かったね。そこだけは、未だに許してません。でも、会えて嬉しかった。会えただけで、嬉しかった。そう思ってたはずなのに。君と過ごすだびにもっと生きて一緒に過ごしたい。そう思ってしまう私がいます。もっと出来ることなら、一緒に過ごしたかった。出来れば恋人同士で。手を繋いで。ハグをして。お互いを見つめあって。もっと一緒に過ごしたかったな、、。生きたいなぁ、、。もっと長く。欲は言わないから30歳まで。来世は、私を好きになってくれますか?私を見つけてくれますか?君が他の子見てるなんて嫌だよ。私だけ見ててよ。本当に大好きでした。きっと世界で1番大好きです。これからもずっと。今までありがとう。
風鈴、ふうちゃんより」

俺は、泣き崩れた。たぶん今までで1番泣いた。

現実を見たくない。生きて欲しい。

そう願うだけだった。

俺は、白紙で図書館から持って帰ってきたレターセットを取りだしペンを握った。

その日は、漆黒のように空がくすんでいる。
そんな気がした。