今日も。今日とて。山江駅に集合だ。

でも今日は少し違う。キャリーケースを持ち、新幹線に乗る。そう、旅行に行くのだ。

「涼太、今日も、私に任せてね!最高プランを用意したから!」「怖いけど、楽しみにしとくよ!」
「なんだその怖いって!!笑」

お決まりのようなこのくだり。
結構面白くて気に入りつつある。

「今日は、新幹線からの景色を沢山写真に収めます!そしてそして涼太の写真も!」「それは断る。事務所通してくれ」「なーんだそれ笑笑」

数分後。彼女は写真を撮っているのか?なわけない。
ぐっすりと眠りについている。無理もないだろう。
今日は、朝早くの新幹線だったから早起きをしたのだ。
それに、彼女は旅のしおりを作ってたらしく夜中まで起きてたそうな。ほんとに、馬鹿だなと思ってしまう。

彼女の手に握られたフィルムカメラ。手から取りだし
1枚の写真を撮る。「ぶっ」思わず吹き出してしまう写真。彼女が口を開けて寝ている。ほんとに子供みたいだなと思った。いい所でもあるのだが。

「ねー、涼太一緒にいてよ」「えっ、?」

どうやら彼女の寝言だったらしい。あまりにもはっきり聞こえたため、起きていたのかと思ってしまった。
彼女には聞こえないだろうけど俺は返答をした。
「あぁ。一緒にいるよ。」

そこから3時間新幹線に乗っていたが、彼女が起きることはなかった。

「あー最悪だよー!!なんで起こしてくれなかったの
よー!」
「だって気持ちよさそうに寝てたら起こすのが
可哀想だろう」
「まぁこれから楽しむか!よし着いてきてね」
切り替えが鬼のスピードだ。

「うわー凄いねこのヴィラ。」

そう今日は、一棟貸のヴィラに泊まることになっている。キッチン付きでふかふかのセミダブルベットが2つと、とても快適で良いヴィラだ。もちろんそんなヴィラを借りるお金がないはずだが、彼女のお父さん。俺からしたらおじさんが、このヴィラやホテルの経営者らしく無料で今回は貸してくれ、泊まれることになったのだ。本当にありがたい話だ。

「ねーみてベットもふかふかだよー!」
「おい!風呂に入ってない状態でベットに乗るなよ!」
「いいじゃん!私のベットなんだしー!もしかして一緒に寝る気でいたの?」「なわけあるか。」

荷物の整理を終え、彼女が突然声を上げた。

「じゃあ早速動きだします。」

着いて早々動くのと憂鬱になったが、
せっかくの旅行だ。彼女に指示に従うことにした。

「この近くに牧場があるらしいの!
だからそこに行きます!」

「いいな。久しぶりだな。」

「涼太行ったことあるの?」「あー小さい頃にな。家族で。父の病気が悪化する前に。」

「そうなんだ、」

やばい。俺が気持ちを沈ませてしまった。
「よし早速行こうぜ!」「そうだね!行こう行こう!」

「すごーい牛さんいっぱいだー!!」

牧場に着くと、綺麗な景色とたくさんの動物達がいた。自然を大いに感じれる。そんな場所だった。

「ねーソフトクリーム食べようよ!」「あっいいな。」

ソフトクリームを売店で買い、1口食べてみる。
「!?」「美味しすぎーー」

さすがは牧場のソフトクリームだ。2人で感動していると、彼女は話し出した。

「ずっーーとこの時間が続けばいいのに。」

そうだな。心の中でそう返事をした。

夜になり、花火をしようとしたが雨が降ってきてしまい、中止になった。暇になり、寝る準備に入る。

ベットがあるが、彼女は、布団の方がいいらしく、
布団を一緒に引くことにした。

「ねー枕投げでもする?」「する訳ない。ガキかよ。」
「はーい。ガキですー。」「もう布団入るぞ。」

2人で布団に入る。

「ねー、どうやったらこの時間が続くかな。」

「どう頑張っても、時間には抗えない。」

「はぁ、。 明日が怖いよ。死ぬまでのカウントダウンみたいに。明日、死ぬかもしれないって、、」

「俺がいるよ。」そう言い、彼女に手を差し伸べた。

彼女は、風鈴は、強く俺の手を握り返す。

「ありがとう、」彼女は、小さく呟いた。