「今日は何をするんだー、」

今日、俺は、何故か夏休みなのに制服で
集めさせられている。

「ふっふん!今日は、最強プランを組んできました。」

急に恐怖心が巻き起こる。

「な・なんと今日は、風鈴の死ぬまでにしたいこと全部やっちゃおうスペシャルです!」「はっっ!?」

余りにも予想してないことに、色々な感情が起こる。

「例えば何があるんだ?」

「今からそれを発表します!まず、今着てるこの制服。そうです。制服で原宿デートして見たかったの!!まぁ相手は、しょうがなく涼太で、」

「おいしょうがなくって何だよ!!」

大声で笑い始める彼女。笑顔が太陽のように眩しい。

「2つ目!遊園地に行きます!お揃いのカチューシャ付けて沢山写真を撮ります!」

遊園地か。人混みは、苦手だがもう決まってしまっている気配がしたため、止めるのは諦める。

これで終わりかと思っていたその時、

「じゃあ3つ目。花火をします。」

花火。今年は何回も見たりしたりしたが、何故か飽きない。正直、期待していた自分もいた。
俺は、少しはにかみながら、頷いた。

「じゃあまずは遊園地からレッツゴー!」

彼女が力強く俺の手を引っ張る。何故か鼓動が高鳴る。こんな変な気持ちになったのは初めてだった。

「ジャーン着きました!
じゃあまずはカチューシャからね!」

周りは家族連れ、カップル、陽キャの集団だらけで、とても俺が入っていいのかと半信半疑で彼女に着いていく。今の俺は、前よりマシだと。自分に言い聞かせる。

「じゃあこれとこれペアでね!」
「えっ俺も付けんの!?」
「当たり前でしょ。はぁ、女心が分かってないな。」

まだ俺には課題が山積みのようだ。

カチューシャを買い、店を後にする。

「ねー。あそこで写真撮ろうよ!キャストさんにお願いしちゃおう!すみませんー写真お願いします!」
ドダバタ走る彼女に慌ててついて行く。

「ねー、涼太ポーズ固くない笑ウケるんだけど。」
「俺の精一杯だ。」

彼女がまた大声で笑い出す。写真苦手な俺的なりの精一杯のポーズだったが、恥ずかしい気持ちになった。写真を沢山撮り、遊園地を後にした。

アトラクションは、彼女の病気のことがあり、乗れないため早めに出た。

「はい!次は原宿へ!レッツゴー!」

また彼女の掛け声で電車に乗りこんだ。
「うわー人多いね。」夏休みのこともあり人が溢れかえっている。ここも初めて来たため、緊張が走る。

「じゃあまずはプリクラ撮ろう!」「マジかよ、、」
俺には拒否権がない。

「うわー!凄いね私もいうてあんまり撮ったことないんだ!嬉しい!!」

周りは女子ばかりで、店内は既に賑わっている。

「これ盛れるらしいよ!これで撮ろう!」

彼女に腕を引っ張られ、連れていかれる。その時、またさっき味わった変な感情が湧いてきた。

「うわー。このシール可愛いわ!お揃いにしよう!」

しようと誘う前に決定ボタンを押しているのには、
あえて触れないようにした。
それから、人生初のプリクラを撮った。
ポーズのぎこちなさは、またいじられたが彼女に教えてもらい、ようやく撮り終えた。

「うわー見て盛れすぎてる笑笑らくがきしようか」

彼女はスルスルと絵や文字を描き始めた。
センスがある彼女は絵や文字のセンスもあるらしい。
できたプリクラを見た時は感動した。
自分では、絶対書けないものがそこにはあった。
今まで見た事のない彼女の真剣な様子。
思わず笑ってしまい彼女が振り向く。

「何よー笑!」「何でもないって!」

彼女の姿が無心になって遊ぶ子供に見えたのは伏せて
おこう。

「じゃあ次はいちご飴食べたいなー」

俺でも知っている物だ。意外と食べ物には
疎くないのだ。

「はいじゃあ涼太はマスカット飴ね。」
「えっ俺もいちご飴が、」
「だから!!シェアすんの!したいの!」

今回のデート(仮)で俺の男力が皆無なことに改めて
気付かされた。

「えー美味しすぎ。なんでこんなに美味しいの!!」

大袈裟なと思って半信半疑で食べてみると想像以上の
美味しさだった。

「パリパリの飴の中にジューシーな果物。凄いな。」「何そんなにシェフみたいなコメントしてんのよ笑!
シェフになったら?」

何故か直感で思った。なりたいと。

「実は亡き父が、シェフだったんだ。日本料理の。俺もシェフになろうかな。なんて笑。俺には無理か、。」

「えっめっちゃいいじゃん!シェフ、何か涼太に合うし!なったら食べさせてね料理!」
「うん!絶対一番に食べさせるわ笑笑」

実現できない現実を。今は、見たくない。
風鈴とずっとこうやって笑ってたい。その願いを願い
続ける。

「はぁーやっぱり地元の空気が1番だねー!」
「あーそうだな。やっぱ都会はすごいな。」

都会の人の混み具合に疲れて2人とも少しぐったりしている。

「じゃあ最後に!」「花火しますか。」

シャワーーーーパチパチパチ 花火の音が煌めき出す。
2人とも真剣に花火を見つめ微笑む。

「ねー。」彼女が口を開いた。

「うーん?」

「明日死ぬって言われたら何したい?」

俺は少しの間考えて答えを出した。
「風鈴と花火をしたい。」

彼女は何故かこちらを向かない。

でも、何故か悲しんでいる雰囲気を感じた。

俺がどうしようか迷っているその時彼女がこちらを
向いた。

「ありがとう」

赤くなった泣き目でこちらを微笑む。

その瞬間また変な感情になった。
この感情は一体何なのか。

その日は花火のように星が煌めいている。
そんな気がした。