「よし。これで準備完了」

 会場の入り口から全体を見渡して、出席者のテーブルの配置と飾りつけ、新郎新婦が選んだ音楽の確認とスクリーン映像の最終チェックを済ませると、腰に手を当てながら『良い出来』って納得。

 今日の式には主役の2人とその友人、親族にも子供が多数出席。年齢は2歳から6歳で、それぞれのテーブルに子供用の椅子がセットされ食事も別に用意してある。
 ただ、新郎新婦は自分達の子供やまわりの子達がぐずらないかを不安視していた。確かに挙式と披露宴を合わせても3時間は掛かってしまうから心配になるのも無理ないと思う。私達スタッフも出来る限り希望に沿って対応していくつもりだけど、退席も視野に入れないといけないな。

 『いつも通りの仕事をする。主役の2人を始め、出席した全員に笑顔になってもらうために精一杯やるだけ』

 心の中でそう言い聞かし、私は会場に背を向けた―――

***

 14:30―――
 新郎新婦を始め両家の親御さんに親族、ご友人や会社の方々続々集まり、式もいよいよ始まった。

 パイプオルガンの生演奏で挙式がスタート。純白にドレスを身にまとう新婦と、共に歩く父の後ろ姿は何度見ても感動する。
 この光景は、いつだって幸せに包まれている。

 ……同時に少しだけ切なく感傷的になってしまう。
 私は凪と、このヴァージンロード()は歩けないんだって……