すげーー自分語りで恐縮なんだけど、最近めちゃくちゃ好きになった人がいたんよ。ハマりそうになったっていうか。普通にマッチングアプリで出会ったんだけどね、会ったその日に部屋入れてくれて、しかもメシ作ってくれて。直美ちゃんっていうんだけど。
最初の日はだいぶ強烈だったから、よく覚えてることがあってさ、たしか唐揚げだったっけなあ。会うなり突然、「ちょうど家で鳥もも肉漬けてたから、唐揚げ一緒に食べよう」って。
え、マジでいいんすか? って。よくよく考えたらトリキとかダンダダンで食うより余裕で金浮くし、何より女の子の部屋にストレートで入れるってさ、もうそういうことじゃん。エロいことできんの確定じゃん。メシのことよりもう、そっちのことしか考えてなかったよ。そりゃあ俺も男だかんね!
そしたらね、その唐揚げがうまいのなんの。エロい思考が宇宙に飛んでっちゃうくらいうまくて。思わずこの唐揚げ今までで一番うまいすよ! なんて世辞抜きで言ったら、「ポイントは二度揚げすることなんだよ」とか言ってて、よくわかんないけど胃袋でハートを掴むってこういうことなんだなってガラもなくジーンときた。まさに掴まれちゃったわけ。
ほんでさ、純粋に気になって「なんで初めて会ったどこぞの馬の骨かもわからない男部屋にあげて、メシ食わせてんの?」って聞いたの。
いや普通に考えてそうじゃん? 防犯意識低すぎだし、メシ食わすメリットだってないし。ノコノコついてった俺が言うなって話だけどさ。
したら、「好きな人に振られ続けてるから、その話聞いてほしくて」って抜かしやがったの。さすがに脳みそにピリッときたね。だって、俺もうすでに胃袋掴まれかけてたから。そんな、気になってる女の他の男の話聞きたくないし。
でもまあ唐揚げはうまかったし、お返しとして聞いてやってもいいか、なんて思ったのが間違いだった。やっぱ気になる女の恋バナなんて聞くもんじゃないね。
セフレ関係なんだってさ、その好きな男と。今までも好きって気持ちはぷんぷん匂わせてるし、メシ奢ってあげることもあったらしい。伝えたことも何度もあるって。でもそのたびにあしらわれて、都合のいい関係を継続してるんだと。
顔も整っててメシもうまいのに、そんな扱いする奴がいるのって驚いたよ、マジで。でもそういう男って一定数いるよなあ、わかるよ、筋金入りのクズってやつだ。俺の周りにもちょこちょこいるし。
だからまあ俺の壊滅的な語彙で、男なんて星の数ほどいるとか、他で探した方がいいとか、頑張って慰めてみたわけよ。そしたら彼女はありがとう〜としか答えなかった。なんだよ、俺結構頑張って喋ったのに。
んでまあ、彼女がうまいメシ作ってくれて、代わりに俺が彼女の話を聞きに行く。そんな構図ができたわけね。え? セックス? してないよ、だって好きな男いる女となんてしたくないし。いや強がってないって。
でもほんと色々食わせてもらったなあ。カレーとかめっちゃうまかった。何種類かスパイス使って、ヨーグルトも入れるとコクが出るんだって。細かいことはやっぱわかんないけど、たしかに激ウマだった。
あとアレ、ルーローハン。これまたこだわりがいくつかあるらしくて聞き流してたけど、とにかくうまかった。店か? ってレベルだったもん。ビールとよく合ってさ、合わせて掻き込むように食うのがまた最高だったね。
でさあ、彼女が俺を呼ぶのはきまって好きな男と会った次の日なわけさ。それで、鈍感な俺でもようやく気づき始めた。
ああ、この人、俺を使ってしんどい気持ち発散してんだなって。
メシ作ってくれるとか、なんていい女の人なんだ……!って最初は疑わずに思ってたけど、逆なんだな、たぶん。
彼女は他の男に都合よく扱われてて、そのどうしようもなさを、俺というこれまた都合いい男でうまく発散してたんだ。うまいうまいと何も考えずにガッ喰らう俺を見て、彼女も安心してたんじゃないかな。
こう、うまく言えないけどさ、自分の存在意義みたいなのを、それ以下の俺を見て、見出してたんじゃないかな。
でさ、一回、俺ビール飲みすぎてポロッと言っちゃったんだよ。改めて口に出すと恥ずいんだけど、「そんな奴より、俺と付き合えばいいのに」って。え? あんたらしくないって? あーうるさいな、あんまいじんなって、まだ恥ずいんだから。
そしたら、「君はそういうのじゃないから。ご飯だけ食べて、そんで私のしんどい話に相槌だけ打ってくれればいいから」って真顔で言われてさ。
ああ、これもう望みがないなってわからされちゃったわけよ。同時に、俺とんでもない女好きになっちゃったんだなーって思った。
これからも、彼女がメシ作ったって言えば、俺は断らずにメシを食いに行くんだろうな。彼女が好きな男から離れられないように、俺も彼女から離れられないんだろうな。
そうやってたぶん負の連鎖って続いてくんだよ。きついよなマジで、笑っちゃうくらい、ほんと。お前もわかってくれる?
てか、長いのに話聞いてくれてありがとな。そんじゃ、どうする? 今日は泊まってくよな。……てかなんでそんな機嫌悪そうなん? ……いや絶対怒ってんじゃん。
ま、とりあえず一緒にシャワーでも浴びようぜ。お前の分のタオルも持ってくるから。な、とりま機嫌直してよ、由香里。
最初の日はだいぶ強烈だったから、よく覚えてることがあってさ、たしか唐揚げだったっけなあ。会うなり突然、「ちょうど家で鳥もも肉漬けてたから、唐揚げ一緒に食べよう」って。
え、マジでいいんすか? って。よくよく考えたらトリキとかダンダダンで食うより余裕で金浮くし、何より女の子の部屋にストレートで入れるってさ、もうそういうことじゃん。エロいことできんの確定じゃん。メシのことよりもう、そっちのことしか考えてなかったよ。そりゃあ俺も男だかんね!
そしたらね、その唐揚げがうまいのなんの。エロい思考が宇宙に飛んでっちゃうくらいうまくて。思わずこの唐揚げ今までで一番うまいすよ! なんて世辞抜きで言ったら、「ポイントは二度揚げすることなんだよ」とか言ってて、よくわかんないけど胃袋でハートを掴むってこういうことなんだなってガラもなくジーンときた。まさに掴まれちゃったわけ。
ほんでさ、純粋に気になって「なんで初めて会ったどこぞの馬の骨かもわからない男部屋にあげて、メシ食わせてんの?」って聞いたの。
いや普通に考えてそうじゃん? 防犯意識低すぎだし、メシ食わすメリットだってないし。ノコノコついてった俺が言うなって話だけどさ。
したら、「好きな人に振られ続けてるから、その話聞いてほしくて」って抜かしやがったの。さすがに脳みそにピリッときたね。だって、俺もうすでに胃袋掴まれかけてたから。そんな、気になってる女の他の男の話聞きたくないし。
でもまあ唐揚げはうまかったし、お返しとして聞いてやってもいいか、なんて思ったのが間違いだった。やっぱ気になる女の恋バナなんて聞くもんじゃないね。
セフレ関係なんだってさ、その好きな男と。今までも好きって気持ちはぷんぷん匂わせてるし、メシ奢ってあげることもあったらしい。伝えたことも何度もあるって。でもそのたびにあしらわれて、都合のいい関係を継続してるんだと。
顔も整っててメシもうまいのに、そんな扱いする奴がいるのって驚いたよ、マジで。でもそういう男って一定数いるよなあ、わかるよ、筋金入りのクズってやつだ。俺の周りにもちょこちょこいるし。
だからまあ俺の壊滅的な語彙で、男なんて星の数ほどいるとか、他で探した方がいいとか、頑張って慰めてみたわけよ。そしたら彼女はありがとう〜としか答えなかった。なんだよ、俺結構頑張って喋ったのに。
んでまあ、彼女がうまいメシ作ってくれて、代わりに俺が彼女の話を聞きに行く。そんな構図ができたわけね。え? セックス? してないよ、だって好きな男いる女となんてしたくないし。いや強がってないって。
でもほんと色々食わせてもらったなあ。カレーとかめっちゃうまかった。何種類かスパイス使って、ヨーグルトも入れるとコクが出るんだって。細かいことはやっぱわかんないけど、たしかに激ウマだった。
あとアレ、ルーローハン。これまたこだわりがいくつかあるらしくて聞き流してたけど、とにかくうまかった。店か? ってレベルだったもん。ビールとよく合ってさ、合わせて掻き込むように食うのがまた最高だったね。
でさあ、彼女が俺を呼ぶのはきまって好きな男と会った次の日なわけさ。それで、鈍感な俺でもようやく気づき始めた。
ああ、この人、俺を使ってしんどい気持ち発散してんだなって。
メシ作ってくれるとか、なんていい女の人なんだ……!って最初は疑わずに思ってたけど、逆なんだな、たぶん。
彼女は他の男に都合よく扱われてて、そのどうしようもなさを、俺というこれまた都合いい男でうまく発散してたんだ。うまいうまいと何も考えずにガッ喰らう俺を見て、彼女も安心してたんじゃないかな。
こう、うまく言えないけどさ、自分の存在意義みたいなのを、それ以下の俺を見て、見出してたんじゃないかな。
でさ、一回、俺ビール飲みすぎてポロッと言っちゃったんだよ。改めて口に出すと恥ずいんだけど、「そんな奴より、俺と付き合えばいいのに」って。え? あんたらしくないって? あーうるさいな、あんまいじんなって、まだ恥ずいんだから。
そしたら、「君はそういうのじゃないから。ご飯だけ食べて、そんで私のしんどい話に相槌だけ打ってくれればいいから」って真顔で言われてさ。
ああ、これもう望みがないなってわからされちゃったわけよ。同時に、俺とんでもない女好きになっちゃったんだなーって思った。
これからも、彼女がメシ作ったって言えば、俺は断らずにメシを食いに行くんだろうな。彼女が好きな男から離れられないように、俺も彼女から離れられないんだろうな。
そうやってたぶん負の連鎖って続いてくんだよ。きついよなマジで、笑っちゃうくらい、ほんと。お前もわかってくれる?
てか、長いのに話聞いてくれてありがとな。そんじゃ、どうする? 今日は泊まってくよな。……てかなんでそんな機嫌悪そうなん? ……いや絶対怒ってんじゃん。
ま、とりあえず一緒にシャワーでも浴びようぜ。お前の分のタオルも持ってくるから。な、とりま機嫌直してよ、由香里。