雨が上がったばっかりだから水たまりだらけの道路を自転車をおして土手まで行く
土手についたらきれいに虹が見えた
「智也くん。話って?」
「凪夜々…僕さ、昔のこと思い出したよ。凪夜々ってさ、僕の昔のご近所さんだよね
羽瀬凪夜々(はせなよよ)苗字は変わってたけど凪夜々だ。」
「そうだよ。私は智也くんが覚えてると思ってた私の初恋の相手でもあるし、智也くんの初恋の相手でもある
私のこと、智也くんは私のこと夜々って呼んでたよね。」
「また夜々って呼んでいい?」
「私は凪夜々て呼ばれるより夜々がいいな。私智也くんに告白するために、楽しくするために
恋愛小説を読んで研究したんだよ!」
「研究って…告白なんて僕からするのに…」
「でも今じゃ…」
僕は夜々の言葉をさえぎって
「で、夜々、僕は夜々のことが好きだよ」
夜々が息を吸ったのが聞こえた
「智也くん…私も智也くんのこと好きだよ、だけど…私はねもう死ぬんだ…だからごめんね」
「夜々…?それでも…」
「ごめんね私最後まで智也くんには笑っててほしいんだ。」
「僕は…夜々の死を見たら笑えなくなる…ってこと?」
「たぶん智也くんは私を思って泣いてくれる。だからもう、一緒にはいられないんだ。
智也くん…私に最初で最後のさいっこうで楽しい初恋をくれてありがとう…一緒に本の話したりするのとか昔一緒に
遊んだこととか、智也くんの陸上がかっこよかったこととか…」
「夜々…」
そんな僕のかなあしい気持ちを読みとったのかそれとも顔に出てたのか
「智也、私がいなくなっても元気で楽しく過ごしてね。もう一回恋をして、陸上をもう一度頑張って…もう断念しないでね、そしておじいちゃんになるまで
しっかり生きてそして私に会いに来てね。まってるよ」
といって
僕にぎゅうしてきた
顔を僕のおなかにうずめて
「智也…ちょっとかがんで…?」
そして
僕のほほにキスをした
「……!?」
「じゃあね智也っ」

夜々が去った場所には夜々のケータイが落ちていた