写真の女の子が誰か知るために僕は最近話していなかった父に聞くことにした
「とっ父さん、僕が昔遊んでた女の子誰か知ってる…?」
「ん…どの子だ?」
「この写真の…」
僕は押し入れから引っ張ってきたアルバムの写真を見せた
「あ…この子な、智也の初恋の相手だろう。名前覚えてないのか?相手がかわいそうだぞ」
「え…だから誰…?」
「あっと羽瀬…な…凪…凪夜々ちゃんだ。羽瀬凪夜々ちゃんだ」
「凪夜々…?」
「智也は夜々ちゃんってよんでたなぁ…」
昔を懐かしむように語る父さんはいつも見ている、スーツで仕事バリバリの会社員じゃなかった
「夜々…?」
そして思い当たる人物は一人しかいなかった

その人物に連絡をとった
『明日の昼、いつもの土手であえないか?』
と返事はすぐ来て
『行く。おすすめの本持ってきてね』
と一言添えてある了承の返事だった

僕はおすすめの本は
凪夜々とあった日に読んでいた1年半前のベストセラーにした
この本は面白かった

つぎの日土手へ行くと夏らしい恰好をした凪夜々がいた
だけど今日の天気は黒い雲で覆われている雨が降りそうな天気だ
「あっ、智也くん!本持ってきてくれた?」
「もちろん」
本を渡すと
「これ、あった時読んでた本だ!面白そうだったんだよねぇ!ありがと、智也くん」
「どういたしまして」
本の話だけで過ぎていく時間は僕にとって最高の時間だった

だけど雨が降ってきた。
「凪夜々!自転車乗って近くのコンビニに行こう!!」
今日初めて僕は法を違反して二人乗りをした
コンビニについたころにはもう僕たちは
ぐっしゃぐしゃのびちょびちょだった
そして凪夜々は自分の心配より本の心配をしていた
「あぁ…どうしよう…智也くんに借りた本がびしゃびしゃだ…」
「大丈夫だって…また買うから…」
「うん……でもせめて私にこの本乾かさせて!」
「いいけど…」
雨が止んだ、雨雲は流れていき
虹の出たきれいな空が現れた
「ねぇ智也くんさっきの土手に戻ろうか。私に…話があるんだよね」
凪夜々には嘘が吐けない
「うん」
だから隠さずに普通に答えた