「はぁ」
凪夜々と古本屋に行ってから、二週間が経過した
そのあとから、連絡が全くないんだ
凪夜々にも事情があるのは知ってるのに
「はぁ…」
「雨内くん今日それでため息何回目?」
「おじさん、僕はため息なんかついてません」
「え~、おじさんが数えた回数だけでも20回はしてたよ?ため息」
「んー」
そんなにしたっけ
「雨内くんは凪夜々ちゃんのことで悩んでるの?」
「うぇ!?」
「雨内くんわかりやすいんだよ~。雨内くんが恋愛のことで悩むのは二度目かぁ…」
二度目…?そもそも恋か!?これは
「二回目…?」
「そうだよ。幼稚園の頃だったかな、『僕が絶対○○を守る!!』っていって聞かなかったんだよ」
んん?記憶にあるようなないような…
「何なら写真見せてあげようか?この古本屋でとったやつ」
「みせてほ……やっぱ今度で、凪夜々からお誘いが来たから」
「おっよかったね雨内くん。じゃあ写真はおじさんが見つけとくから今度見よう。」
「はい!!」
……写真が黒歴史になりそうと思うのは僕だけだろうか
なのになぜ元気に返事をしたのだろう
凪夜々からの連絡の内容は、
『今日今から、土手で会えない?』
という内容だった
僕は即答で
『行く』
と答えた
ここからまたガチで走る。今日は自転車じゃないんだ…
めんどくさかったから、
「はぁはぁ…」
「智也くんおはよう、あっもうこんにちはの時間かな」
「…おはよ…」
「今日はさ智也くんが読めそうな恋愛小説を持ってきたよ」
「ん…僕だって恋愛小説読むもん…」
ひどいなぁ僕も読むのに!!最近は特に…
「だから、読みやすそうな本で私のおすすめ!!」
「凪夜々のおすすめ…読む!!」
「その代わり今度智也くんのおすすめの本を読ませてね」
「もちろんっ」
…何にしようかな…何にしようかな…
「あ…もう時間だ…お母さんに怒られる」
「……凪夜々のお母さん厳しいの?」
「厳しいというより、過保護…なのかな?私…すぐ心配かけちゃうから。じゃ智也くんまたね!」
「あ…凪夜々っちょっとまって!」
「なに智也くん?」
「今度はっ僕から連絡してもいいかな?」
凪夜々はとびっきりの笑顔を向けて
「うん!私もうれしい!」
といった
「じゃあまたね」
そして帰っていった
僕は彼女に悩まなくても連絡できるということがうれしすぎて
古本屋のおじさんが言ってたことは、9割がた忘れていた