海の見える、土手で君と


凪夜々から連絡が来た
「今日、3日前会ったところで会えない?」

どうしようか悩んだけど
今日も一日暇だったから行くことにした
凪夜々といると世界の価値観が変わるから
どうしようもなく、からっぽで、平凡な毎日に終わりを告げたいから

「やっほ、智也くん」
「ん…やっほ、凪夜々」
「ねぇねぇ!今日はさ古本屋連れててよ!」
「んーいーけど、歩くと少しかかるよ?坂だし」
「え?智也くん、自転車の後ろに乗せてくれるんじゃないの?」
「それって法律違反にならない?」
「え?見つからなかったら大丈夫でしょ?」
それ…見つかったら罰金とかだよね…?
じゃあ
「凪夜々、僕が走るから凪夜々は自転車に乗って?」
「…わかったよぉ…」

凪夜々が自転車に乗って、坂を上っていく
僕は…それを追いかけて…走ってる…
「智也くん、次はどっち?」
「えっとね…右に曲がったら、左を向くとね…古本屋あるよ…」
正直、上り坂含め二キロくらいは…少しキツい…
「あっ!これ?」
少し遅れて追いついた僕に凪夜々が聞いてきた
「ん…そーだよ…」
「すごい…すごい量の本棚と本がある…!!というかさ…智也くん足早いじゃん」
「…ここの本の量はすごいからね、あと僕一応元陸上部員だから」
「元?今は?」
「やってない。というかやめた。…部内でいろいろあってね」
「ふぅん。でも陸上向いてるよ。私よりは、はるかにもう1回やったら?私は好きだよ、智也くんが走ってるの見るの」
「それは…無理かな。もう二度と、陸上では走らないって決めたから」
「…」
もう僕は陸上をやらないって決めたから
雰囲気が暗くなった。
「ねっねぇ早く中に入ろう?」
「そうだね~暑いし」
「あ…店の中エアコンないよ?」
僕の独り言は凪夜々には届かず空に消えた