平々凡々の僕は
いつも通り、古本屋に自転車で行く。
家から10分海がみえる道を通っていく
ただそれだけの日常
何もない、土手。車が走るだけの道路、いつも同じで荒れてない海
すべてがいつもの日常だった。今日は暇だったから
古本屋帰りに土手に寄った
そして寝転びながら本を読んでたら
知らない女の子に話しかけられた
「ねぇねぇ君さ本好き?」
と笑顔で尋ねられた
本が好きですかの前に、あなたは誰ですか?と問いたくなった
「ねぇっ君本好きなの?」
勢いに気圧され僕は
「はい」
と答えてしまった
そしたら
「よかったぁっ、好きじゃなかったら私、ただの変なヒトだよね」
そりゃそうだ
初対面の人に話しかけるのに第一声が本は好き?はない。
言いづらいけど
「君は…誰ですか?」
「あっ忘れてた。私は花城凪夜々(はなきなよよ)。凪夜々って呼んで。よろしくっ」
そういった凪夜々は少し茶色のセミロングの髪に茶色っぽい緑色の目をしていた
「ところでさ、君の名前はなんていうの?」
あ…ね
「僕の名前は雨内智也。よろしく」
「智也くんかぁ。よろしくね、ところでさいつもどんな本を読むの?」
特に考えたことなかったな。でもよく読むのは
「単行本は高いから文庫本で、ライトノベルとか…文豪だったら、江戸川乱歩とか?でも大体全部読むよ」
「お~私は恋愛ものかな」
恋愛ものか…僕はあまり読まないな
「で、今読んでる本は?」
「ん?これ?さっき古本屋で面白そうだった、1年半くらい前のベストセラー」
「古本屋!?どこにあるの?」
「ここから自転車で3分」
まぁ飛ばしてだからね
「へぇっそんなとこにあるなんて知らなかった」
「あそこの本はいろいろあって品ぞろえもいいからね今度行ってみるといいよ」
「今度行ってみる」
タイミングよく電話が鳴った
「あ…時間。お母さんからだ。智也くん連絡先交換して?」
「なんで?」
「今日はもう帰らないといけないけど、また今度古本屋連れてってよ」
「はいはい」
ぴこん
連絡先を交換して

お互い帰路についた

久しぶりに、平凡じゃない、いつもどおりじゃない日だった

そして
この出会いが僕を変えたなんてことは
僕自身も夏が終わるまで気づかない