肌を焼くように突き刺してくる日差しの中、ぼくは今、坂を自転車で上っている。身体中から吹き出す汗が、頬をつたう。都会の夏は暑い。この暑さとも、今日でお別れかと思うと、少し寂しくなる。テレビをつけると、毎日、毎日熱中症のことについて話している。高いビルが原因なのに、それ以外に原因を作り出そうとしている。
やっとこさ、家につき、エアコンにあたる。
もう部屋はがらんとしていて、ダンボールが数箱積み重なっている。明日からは海の街に住む。久しぶりの故郷に心なしか、喜んでいる気がする。…いや、めちゃくちゃ喜んでる。
10年前に引越すために、幼馴染と別れたのは当時5歳だった僕には悲しすぎて、引越してきてしばらくは落ち込んでいた。