学校中に響き渡るホームルームが始まるチャイムが鳴った。


「はいチャイムなったぞ、席につけー。ホームルーム始めるぞー。」
刈り上げの髪にスポーティな格好の先生が入ってきた。
「突然だが今からみんなに転校生を紹介するぞー。」そう言って廊下に出て手招きをした。


教室に入ってきたのは猫っ毛の銀髪で少し細めの綺麗な目の男子だった。その瞳はなぜか曇っているように見える…。
でも私にはこんなキラキラとした人と関わることはない。
男の子は自己紹介を始めた…。

「おはようございます。天文高校から編入してきました。渡瀬 牽です。好きな食べ物はそうめんです。
苦手な食べ物はビーマンです。よろしくお願いします。」
嫉妬するほどに綺麗な声で自己紹介をした。なぜだか私はほんの少しだが懐かしい感じがした…。

授業中渡瀬くんはありえないほどの頭の良さで皆を驚かせていた。
天文高校が頭いいのは知っていたけれど、まさかここまで頭が良いとは思ってもいなかった。

面倒くさい授業は終わり、掃除の時間がやってきた。雑巾を取り出し、教室を出ようとすると、先生に呼び止められた。
「園川確か図書室掃除だったよな。悪いが渡瀬を図書室掃除にするから色々教えてやってくれないか。」
ものすごく申し訳無さそうに頼むので「最悪」と思いながらも引き受けることにした。
先生は渡瀬くんを呼び、私のところにつれてきた。

渡瀬くんはべコリと会釈した。それにつられ私も会釈した。息を呑んで
「渡瀬くんに掃除のことを教える事になった園川美織です。わからないところがあったら言ってください。」と告げた。
彼も「園川さん色々迷惑かけるかもですけどよろしくお願いします。」と言い、にこっと笑った。

ドキッとしたけど私はこの人に惚れることはないのだから…。一緒に図書室にやってきて
「ここが図書室だよ。私達二年生はほんのホコリを払うのがしごとだよ。」と教えた。

彼はびっくりした様子で「それだけ?」と言ってっきたのでそうだよ。と返した。
「すみませーん先輩方いらっしゃいますか?二年の園川です。」ちょい大きめの声でいった。
そしたらおくのほうから「はいはーい、いるよー」と小走りで宮崎先輩が来た。渡瀬君は間を取り、

「忙しいところすいません。今日からこの図書室掃除になる渡瀬牽です。天文高校から編入してきましたよろしくお願いします。」
びっくりするっほどに気遣いができて、感動できるほどの声だ…。先輩は嬉しそうに、
「よろしくねけいちょん!私は宮崎ほのか。それにしてもイケメンだねえ羨ましいな。」先輩はとてもニヤニヤしている。

彼は辺りを見渡しながら「広い図書室だね」と言った。確かに他校よりかは広めだと思う。

「あ」と言いながら七夕のコーナーに駆けつけた。そして「俺七夕が好きなんだよね、大切な人に会えるなんてすごく嬉しいと思うんだよね…。」私は初めて彼の悲しそうな顔を見た。

掃除が終わって下校時間になり、帰る準備をしている時、渡瀬くんに声をかけられた…。
「一緒に帰らない?あんまり友達がいないし…。えっと園川さんが良ければだけどね」私は断ろうと思ったけど流石に良くないと思ったので、「いいよ」と言った…。

帰り道は地獄だった…。めちゃくちゃ見られて、コソコソされる。ほんとに断ればよかったと改めて思う。下を見ていたのか渡瀬くんは
「大丈夫?体調悪い?」と気を配ってくれる。私たちは