なんでこんなに怒っているのか、わからない。

何か失言をしたかと振り返っても大したことは言っていない気がする。

大空は怒りのままに叫ぶ。

「清夏がどれだけ悩んだってその子は知らないの。そんなウダウダ悩んでたってギリギリで決めることになって後が大変なだけなんだから、どっちにするのかはっきりしなさい！」

現実味のある叱りに精神攻撃を受けた。
後で一番大変な思いをするのは結局俺だ。

だが、俺の思いを知らない大空にここで一方的に散々言われるのは、たとえ大空相手でも我慢できない。

「俺だって早く決めなきゃって思ってる。でも、それぐらい想ってるんだよ。簡単に決められない」
「だから、そんなのその子は知ったこっちゃないんだって。高校卒業しても会えないかもしれないくらいの仲のままいるヘタレな清夏が悪い！」
「誰がヘタレだ！」
「清夏に決まってんでしょ！」
「好きな人に近づくのがどれだけ大変だと思ってんだよ！？」
「私だってその大変さは知ってるし、それでも私は頑張ってるもん！」
「だったら尚更、俺の気持ちわかるだろ！」

お互いヒートアップして勢いのまま喋ったせいで軽い息切れをしていた。