俺なんて、瑞季さんに、
『そんな顔で表に出ないでよ?』
なんて注意されたり、

『若葉くんって何考えるのかわかんないよね〜』
と言われたりで。

高く評価されてるとはほど遠い。

珠貴にイライラするのは、瑞季さんとの距離を縮めるスピードが早すぎることだけが原因なんじゃなくて、

それ以上に、俺ができないことをサラッと簡単にこなすことのできるやつだから。

同じ学校の同級生。
そんなやつに入ってこられちゃ、比べたときに、

明らかに俺が劣っていることがバレてしまう。

瑞季さんに、あいつよりできない男だって思われる。

それがものすごく嫌で。嫌で。嫌で。

少なくとも、瑞季さんにまっすぐ『可愛い』と伝えた彼の株は、瑞季さんの中で俺より高いに決まってるわけで。

正直、接客は苦手だから面白くない。
金のため金のため、そう思いながら始めた。

けど、瑞季さんと出会って変わっていったんだ。