たしかに、珠貴の言う通り、俺は面倒ごとが嫌いだ。
人の下で働いてあれこれ指図されたり、理不尽な客にペコペコ頭を下げるのも絶対無理。
けど……。
「金欲しいからなぁ……」
「あーだよなー。俺もまたバイト探さねーとなぁと思っててよ。お前のところって今募集してんの」
「は、なに。来んなよ」
とっさにそう言ってしまった。
「え、なんでだよ!紹介の方がすんなり入れそうじゃん」
「いや……」
「はぁー?んだよその反応」
来て欲しくない。
特に珠貴みたいな、男女問わず誰とでもすぐに打ち解けられるコミュ力おばけは特に。
「募集してねぇーの?ちょっとググるわ」
「あっ……」
すかさずズボンのポケットからスマホを取り出した珠貴が、慣れた手つきで画面を操作しながら、「お」と声を出した。