まず行ったのは、ゲーセンだ。彼女の心臓のこともあって、まずは近場で思い出作りとしようと考えた俺の作戦だ。ゲーセンに行ってみて思ったのは彼女はUFOキャッチャーがとても上手だ。
「濯麻くん、このゲームすごい面白いんだね。」とにこって優しく笑いかけてくれた。あー。かわいい。
ちなみに俺は5000円使っても彼女が好きなキャラクターが取れなかったのは内緒だ。さらに彼女がそのぬいぐるみを100円で取ってしまったことも言わないでおこう。
これは立派な思い出作りになった。
次に行ったのは本屋だ。
これは彼女のリクエストだ。なんでも、遺産相続のことについて調べたいというのだ。大人か。(高校生はまあまあ大人だ。)
ただ一つ気になったのは彼女がいたコーナーが遺産相続ではなく俺の好きなコミックが売っているコミック売り場だった。それを見られた彼女は恥ずかしそうに、
「た、濯麻くん…今の見てないよね…?」
と恥ずかしげにこちらを見てきたので何も言えず俺は
「ウン…ナニモミテナイヨ…」
と見え見えの嘘をついてごまかした。

その次に行ったのは
別の市にあるフラワーパークだ。
彼女のようなコスモスを見に行った。コスモスは秋桜と書いてコスモスと読むが彼女は春生まれなのでチューリップでも良かったかもしれない。コスモスを見た彼女はふにゃっと表情を緩めてこう言った。
「濯麻くん…このコスモスかわいいねっ♪でもなんでコスモスなのっ?」
それは…彼女がコスモスみたいにきらきらふわふわかわいくてそっくりだったとは、言えるわけがない。
彼女はそこの売店でラベンダー味のソフトクリームを買ってもらいご機嫌でパークを後にした。
その時、彼女の体がぶるっと震えて見えたのは気のせいか。と不思議に思った。






その瞬間、信じられないことが起こった。