俺、深澄濯麻(みすみたくま)には麻原美優(あさはらみゆ)という彼女がいる。
美優はとてもふわふわしてていつも笑みをたやさない自慢の彼女だ。
ただ、ある日、彼女はそう告げたのだ。

「濯麻くん。私は心臓に持病を持っています。そしていつその心臓が動きを止めようとするかはわかりません。今日止めるかもしれないし、10年後に止まるかもしれません。騙していたわけではないです。ただ、濯麻くんのそんな顔を見たくはなかったので言えなかったです。ごめんなさい。」
俺は急な彼女の発言に一瞬息をするのを忘れそうになってしまった。
「え…」
俺が驚きと悲しみが入り混じった感情の中、この言葉を必死に絞り出した。
「ごめんなさい。濯麻くん。きみのそんな顔が見たくなかったから言えなかったの。」
「美優、今までごめんな。なんでもっと早く気づけなかったんだろう…じゃあ今、最初で最後かもしれない思い出作りに出かけないか。」
濯麻くんの優しさに胸がきゅっとなったあと少し迷ったが、返事をした。
「濯魔くん。ありがとう…そして早く言えなくてごめんね。」
そして俺らは最初で最後の思い出作りに出かけた。